Archive for April 2007

29 April

「循環」

journal & report [2/2] 
Junkan農園 / 中田 早保 さん


___ご自身の農園は『Junkan農園』と名前をつけてらっしゃいますね。どんな想いが込められているんですか?

 「Junkan」とは、色々なものが地域で「循環」して欲しいという思いでつけています。
 野菜を週2日配達してるんですが、その野菜を届けた先で出た生ゴミを、1週間米ぬかと発酵させていただいたものを農園に戻してそれを堆肥にするようなこともしてるんです。それは多分、入り口だと思うんですが、もっとすごく大きい意味でこの地域で循環できたらいいなと思っています。
 農園の肥料も、草とか落ち葉とか、造園屋さんで出る木のチップとか、製麺屋さんで出る製麺くずとかを堆肥にしているんですが、地元で有機廃棄物になっているものを農園に生かしていきたい気持ちはあります。

___そういうことを皆さんにお願いした場合、協力していただける方は多いのかしら?

 まだ一部ですね。やっぱり家で貯めるっていうのが大変だと思います。

___かなり工夫も必要ですよね。

 そうですね。ふたつきのバケツを用意していただいて、そこに乾燥した糠をふって、お水を切って生ゴミを入れて、また糠をして、毎日繰り返してもらってます。

___最初は大変かもしれないけど習慣に出来たらいいですよね。
 そんな風にして作ったお野菜を、作り手としてどんな人に食べていただきたいと思いますか?


 うちの野菜を食べたいという人には誰にでも食べてもらいたいです。
 あとは、最近増えているんですけど、化学物質過敏症の方とかアトピーの方とか、やはり化学物質を使わない野菜で体をきれいにしていって欲しいという気持ちがあるので、そういう方にも食べていただきたいです。

___そういう療法に取り組まれてる先生にもお会いしたことがあるとか?

 今一緒にJunkan農園をやっているパートナーが、九州・大分県の赤峰勝人さん(なずなグループ)という方のところで研修していて、その方が「食養庵」をやっていて。食べ物は玄米とお野菜と天然の塩・調味料でアトピーを治したり、その方のレシピなどを参考にしながらうちでも食べてるんです。

___流行のマクロバイオティックのような感じなのかしら?

 マクロもよくご存知の方なのですが、いりこを使ったり動物性のものも若干取り入れながら
作ってます。陰陽料理法なんかも取り入れながらやってます。

___毎週のお野菜と一緒に、ちょっとした栞のようなものを頂きますけど、それにもいろいろな情報を下さってますね。

 読んでくださってる方の反応が結構あるので。
 畑の様子って、自分はずっと見ているんですけど、お客さんの方が畑の様子ってぜんぜん知らないので、なるべく知ってもらいたくて書いてます。

___農業に携わってらっしゃる他に、学校でも授業を持ってらっしゃるそうで。。

 そうなんです。旭ヶ丘高校が小田原市の久野に畑を持っていて、そこで週2日高校生たちと有機農業をやっています。

___実習をやってらっしゃるんですか?

 そうです。選択性で、陶芸とか木工とか、そうゆう中で農業をしたい生徒が集まっています。だいたい1クラス20人〜25人くらいですね。

___生徒さんの反応はどうですか?

 農業を選択してきても、ちょっと土は触りたくないとか虫は絶対ダメとか、そういう子も結構多くて、最初の4月5月はアスファルトの道から畑に入らない子がいるんです。
 それが、授業は2月くらいまでなんですが、種まきも収穫も一通り体験して終わる頃になって、採れた農産物を食べるところまで一通り出来てくると、やっと面白くなってくるみたいです。

___なるほど、やっぱり1サイクルかかるんですね。

 そうですね。3学期になって、やっと草取りも苦じゃなくなる、というか意味がわかってくる感じですね。
 3年生だともう自分の進路とかに関係ないつもりの子も多いんですけど、 いつも3学期に言うのは、 将来仕事がなくなってしまったり食べていくことが不可能となったときでも農業はあるよ、って言ってるんです。食べ物を作れればとりあえず食べていくことは出来るから、って。

___今後はどんな風に農業に取り組んでいこうとしていますか?

 新しい取り組みというか、天然酵母のパン教室をしている知人がいて、その方が2年前からパン用小麦の会を立ち上げて、今うちの農園も一緒に取り組んでるんです。パンを焼くことだけじゃなくて、つぶ麦の種をまくところからみんなで一緒にやっていって、パンを焼いて食べる食べるところまで体験しようと。
 私たち農家側は、どうしても生産して粉にするところまでで止まってしまうのですが、それをパンにして味わうところまで私たちも体験しよう、ってやっています。そこでパンを焼くことがメインだったお客さんも、うちの畑に来て一緒に小麦の種まきや麦踏みや、鍬を持っていろんな作業をしたりするんです。
 自分で言うのも変なんですけど、畑のある場所がとても恵まれていて、その場所が気持ちがいいから、なおかつ、鍬を持って汗を流すような作業なんてしたことがない方が、そういう事を楽しみに来てくださっていて。農場を中心に人との交流が出来るようにしていきたいと思っています。

___種まきから食べるところまで。。それで一つの循環が繋がりますものね。

 そうですね。


21:50:00 | milkyshadows | |

15 April

『あしがら農の会』

journal & report [1/2] 
Junkan農園 / 中田 早保 さん


___私、毎週中田さんに、新鮮な野菜を届けて頂いていて、本当においしくいただいているんですよ!

 ありがとうございます。

___配達はどのくらいの件数を回っていらっしゃるんですか?

 週に2日、火曜と金曜に30件くらい回っています。袋の数で100とか150くらい、軽トラいっぱいです。

___初めて届けていただいた時に、葉物野菜を湯がいたら、鍋から上がる湯気が土の香りがしたんですよ。それがとても懐かしい香りがした♪ 大地の匂いと言うか。。
 無農薬で栽培なさっているそうですが、やはり何かとご苦労が大きいですか?


 農業を始めたときから無農薬・無化学肥料だったので、他との比較があまり出来ないのですが、土が出来てしまえば虫の心配はあまりないです。今はまだ始めて間もないので、色々ありますが。

___「土が出来る」って?

 何でも種を撒いたら出来る状態。ミネラルだと思うんですけど。
 例えば、落ち葉がずっと降り積もってる森の中の土みたいな場所は、種を撒いても虫が出なくて、すごく綺麗な色で穴一つ出来ないんです。

___化学肥料を使ってしまうとそうならない?

 と思います。よく家庭菜園とかで、石灰とか化学肥料とかたくさん撒かれてたりするんですけど、そういう所の土ってガチガチで、ひび割れなんかもしてるような所もあって。
 そういう状態とはぜんぜん違うので、例えば化学肥料をやめて落ち葉とかいろんな有機物を入れ始めると、同じ場所だったのに土が10cm上がるって言う人もいるくらい、土の中のものが動き始めるって言われてます。

___すごいことですね! そういう状態までもっていくのにどのくらいかかるんですか?

 元の状態がどんな感じかで変わるんですけど、草を刈って置いていた場所のようなところは、耕したら直ぐ良い野菜が出来るんですけど、もともと化学肥料を使っていたような場所だと、たぶん5年くらいかかるんじゃないですかね。

___その5年間は、待っていれば戻るものなんですか?

 例えば麦とかとうもろこしとか、すごく深いところまで根を張ってぐーんと伸びて土の中まで有機物を提供してくれるようなものを作って、なおかつ上からも草とかを置いてあげると良いかな。上も下もたくさん有機物を供給してあげると微生物が動き出す。

___この足柄の土地はまだ再生可能な状態にありますか?

 私は小田原生まれなんですけど、小さいときは田んぼばっかりだった記憶があるんです。今はほとんど宅地になったりデパートができたりして、農地自体がほとんどなくなってきてますよね。
 農地じゃなくなってアスファルトを敷き詰めちゃった場所は、相当なことじゃない限り農地には戻らないと思うんですが、ススキがぼうぼうに生えているような所は、すぐ手を入れれば戻せますね。ススキが生えていればすぐ戻るんじゃないかな。

___ご実家は農業でらっしゃったんですか?

 そうじゃないです。

___農業に携わるきっかけは?

 一番最初、自分が生きているのは食べ物を作っている人がいるからというのに気づいたのが高校生のときで、それで農業のほうに進もうと思って。進学はしたんですけど卒業した後に、有機農業をやっている人たちを周る旅を友人数人と関東から九州の方まで周って、そのときに九州で農業されてる女性2人の方に会って、「鍬と鎌さえあればいつでも資本金がなくても始められるんだから、戻って始めたら」って言われて。 その方の影響もすごくあって、 それが引き金というか・・・

___確かに農業って原点ですよね。

 でもあまり何も考えずに始めたような気もするんですけどね。

___旅先で、逆に足柄地域の活動に触れたとか?

 広島の有機農家に行った時、『あしがら農の会』って知ってる?って言われて。でも私はぜんぜん知らなくて。旅から戻って『農の会』のことを知って、今は『農の会』のメンバーとしてやっています。

___ 『あしがら農の会』は、どうゆう活動をされる会なのかしら?

 『田んぼの会』っていうのがあって、今100家族以上が足柄地域で田んぼをしています。何箇所も田んぼがあって、みんなそれぞれやり方も違えば構成してるメンバーの仕事もぜんぜん違うような人たちが、それぞれやっています。
 それ以外に、今私がやっている有機野菜とかお肉とか卵の宅配っていうのと、5月にはお茶摘みもやっています。それは年間通して摘む人たちが草刈からお茶畑の管理からして、5月に自分たちが飲むお茶を手摘みで摘もうっていうことですね。
 あと2月にお味噌を仕込んだんですが、『田んぼの会』で採れたお米で麹を仕込んで。大豆も去年からみんなで作り始めたんですが、大豆を栽培して自給用のお味噌を1年間分作るっていうようなこともしています。

___自給、ということが一つのテーマ?

 そうですね、「地場・旬・自給」を掲げています。
(つづく)


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08 April

「和と輪」

journal & report [2/2] 
CLEAN PEACE 代表 / 後小路 大志 さん


___「平和推進共同体」としては、何か他にプランがあるんですか?

 具体的なプランはハッキリとはないのですが、ただもっと人と人とが単純に違和感もなく繋がっていけるような世の中になったらいいなと思っています。
 学校でもテレビでも、今は知らない人には疑ってかかれというか、例えば道を聞かれても、その人は不審者かもしれないから着いて行っちゃだめだと言われているし。でもそうじゃなくて、素直に人と人とが繋がっていけたらいいと思っています。
 それが平和の第一歩のような気もしますし、その為にも集まって皆が話すとか行動を共にするというのは、きっかけになるんじゃないかと思っています。

___人と人とが繋がっていく先には、何かイメージする世界がありますか?

 皆がいつでもどこでも気軽に繋がれるような社会になったら、もっと何の心配もなく希望を抱いて生きていける、という気持ちは非常にあります。

___ブログのタイトル『和気安寧』には、そういった思いがあったのかしら?

 「和気安寧」は造語で、「和気」は穏やかな和む気持ち、「安寧」は人々が安心して暮らせるような平和で秩序が保たれた社会という意味で、「和気」でいることは「安寧」に繋がってくるんだと思うんですよね。
 その「和気」をふり撒くきっかけとなるブログを作りたくて、そういう気持ちも込めました。

___あちこちご旅行もされてるみたいですが、 そういった所で感じた事が、こういった活動の礎になってきているのかしら?

 そうですね、。旅行は結構行きますね。時間があれば一日でもぶらぶら違う土地に行ったりというのはしょっちゅうしています。
 一番大きかったのは、島根県の隠岐の島です。父の実家で、おばあちゃんちに当たるんですけど、その島は物があまり無くて、例えば信号が島に一個しかないんですね。そのかわり牛がいっぱいいて、山に入ると牛が道を塞いでてどかなくて、「牛待ち」っていうのがあるんです。
 おととし10年ぶりくらいに帰ったんですけど、その島の人たちは何の隔たりもなく繋がっているような感じがあって、外部から来た自分もそこに何の疎外感を感じることもなく、ウェルカムモードで話をしてくれたり世話をしてくれたりして。最初自分はそれに戸惑ってしまって、すんなりその輪の中に入っていけなくて。
 でもそういう社会のほうが良いなと思ったんです。そういう島の社会は安心して暮らせるし、のびのびした気持ちで毎日過ごせるし、時間もゆっくり流れているように感じるし、まさに「和気安寧」な感じの世界で、そういう理想として島の人たちの生活を抱くようになりました。

___なるほど。それで「和と輪」という二つをおっしゃっているのですね。

 そうです。和むの「和」と、輪っかの「輪」。人と人とが繋がって大きな輪が出来ていけばいいなと思います。

___それが未来へ繋がる。。

 そうですね。きれいな街なら人の気持ちも和むと思うし、そういう行動をしているのを見るこ
とだけでも和むと思うし、そういうことを通して人と人が繋がっていく感じです。クリーンピースが目指すところはそのようなところにあります。

___参加したい方は、どこへ集まったらいいですか?

 第三日曜日、午後2時、小田原駅前、小便小僧前集合です。緑の服を着てる人が何名かいると思うので、その元に是非集まってください。宜しくお願いします!


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01 April

ゴミ拾い & 平和推進共同体

journal & report [1/2] 
CLEAN PEACE 代表 / 後小路 大志 さん


___『クリーンピース』って、面白いネーミングですね。

 はい。 「ゴミ拾い&平和推進共同体」という名前なんですけど、清掃活動を通して平和な世界を少しでも目指して行こう、と言う気持ちを込めました。
 ゴミ拾いだけで完結するのではなくて、自分たちが行動を起こすことで少しずつ何かが変わっていくということを示したいということが心の中にありまして、もっと人が安心して暮らせるような世の中になるように自分たちが行動していきたいと思っています。

___まず、自分たちが動く。。

 自分もそうでしたが、何かあったことに対してそれに文句を言ったり批判したり嘆いたり、いくらしても何も変わらないので、その嘆くような現実があるんだったら、それを変えるためには、やはりまず自分が動くことじゃないかと思います。

___それが、たまたまゴミ拾いだった、、?

 そうですね。ゴミ拾いという材料、と言ったらおかしいですけど、何かを作っていくためにまず身近に出来ることとしてゴミ拾いを行っています

___具体的にはどんな活動を?

 毎月第三日曜日午後2時から小田原市街地のゴミ拾いを1時間程度行ってます。 1年とちょっと、3月で14回実施しました。

___どんなゴミが多いですか?

 細かいですけど、タバコの吸殻が一番多いですね。

___どんな人が参加してるんですか?

 基本的には自分と繋がりがある人や、バスケットボールでの教え子でしたり、大学の後輩でしたり、またそうゆうところから繋がった人が少しずつ集まってきてくれています。
 最初は、15人前後でした。多いときには40〜50人の時もあります。その場合によって結構違います。

___最初はどんな感じで始まったんですか?

 当時、自分が小田原高校女子バスケットボールクラブで外部指導者としてバスケットを教えていたんですけど、生活指導の一環と言うか、バスケット以外でも人間の幅を広げて行こうということで、小田原の街に出てゴミを拾い始めたのがきっかけです。
 第一回目の清掃活動は城東高校女子バスケット部も協力して頂きまして、合計30名くらいで、小田原駅から海にかけての清掃活動を行いました。

___どうしてゴミ拾いを思い立ったんですか?

 Coccoと言う歌手が居るんですけども、『ゴミゼロ大作戦』というビデオを観たときに、ビデオの中で話していることや、その取り組む姿勢に非常に感動して、自分たちでも身近に出来ることから一つずつ始めたいと思って、それでゴミ拾いから始めました。
 バスケット部の子は、そのゴミ拾いを決めた日だけではなくて、日常生活の中から目に付いたゴミは必ず拾おうと、約束を決めてやってきました。
 凄く高い目標だけではなくて、実現可能な目標を立ててそれを毎日やっていくことで強い意志が育つんじゃないかと、「生活向上10ヶ条」を設けて、部でそれを徹底してやってきました。

___チームのメンバーたちはどんな反応だったんですか?

 最初は強制的な部分を感じていたのかもしれないですけど、引退した後に話を聞く中で、生活のことを色々学べたのは非常に大きかったということを言ってくれました。
 部活を指導する上で、3年間で完結してしまうんではなくて、その先に何か繋がるものを残したいという気持ちが僕の中ですごくあったので、そうゆう面で彼女たちにそのことが残ったのであれば非常に良かったと思っています。

___意識改革の過程ではやっぱりご苦労がありましたか?

 苦労もありましたけど、自分も一緒にやっていたので、続けて姿勢で示していけば大丈夫だと思っていたので、そんなに苦労という苦労はないです。
 みんな結構着いてきてくれてありがたいです。
(つづく)


21:40:00 | milkyshadows | |