Complete text -- "遠い日に"

02 December

遠い日に


遠い日に、
海の隣りの緑の丘で、僕らは暮らした。

風の渡る、光に満ちた、
けれど、他には何もない。
僕ら以外に、誰もいない。

丘への道は、誰も知らない。
どうして来たのか、誰も問わない。
それでも僕らは、そこで暮らした。


 あの日、
 僕らは強かったワケじゃない。
 ただ、
 何も知らなかっただけ。

 そして今、
 僕らは弱くなったワケじゃない。
 ただ、
 呆然と、あきらめているだけ。


僕らは流れてゆくけれど、
記憶はそこに漂いつづける。

ずいぶん遠くへ流れて来たけど、
あの日の自分も 捨てたものじゃない。


 “永遠”と呼ばれるモノの
 正体は知らないけれど、
 それは いつだってすぐ隣にいて、
 夕暮れの西の空を、僕らと一緒に見つめている。
motoka


17:50:00 | milkyshadows | |
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