Complete text -- "創作ジュエリーとワークショップ"

08 April

創作ジュエリーとワークショップ

artist file "tanebito" #01 [1/4] 
伊東 知子 さん(創作ジュエリー作家 / 風にかえるアトリエ

photo/AKIHIRO FURUTA

自然の造形


___どうして自然石を扱うようになったんですか?

 もともと 天然素材の絹とか麻とかすごく好きでした。自然がつくった造形の中に人間が努力しても到底及ばないような素晴らしい姿を見た時に、あぁもう自然の力の方がスゴイんだって思って。
 そしたらもう、半分は自然に助けてもらいながら、素晴らしい造形の原石を使って創作活動をやっていった方がいいんじゃないかなって。

___きっかけがあったんですか?

 自然石を使ったネックレスを作るお教室があるからと友人に誘われて、そこで教えてもらったのがきっかけです。当時は今みたいに石を売ってるお店が少なくて、だけどその人の家にはいっぱい石が並んでいて、「あぁこんなのあるんだ。いろいろあるんだ」って思いながらひとつ自分のを作って。
 そしたら何故かそのネックレスを着けてる時だけ無性に悲しくなって涙が出たりとかして、「あっ、石って何かあるかも」と思って。それが石の事を詳しく知りたいと思ったきっかけですね。何か心と関係してる気がした。

___それで、本などをガイドに勉強をした?

 しなかった。(笑) 
 勉強というか、自分の好きな石を、直感で、ひとつづつ集めていった感じです。
 今もそうなんですけど、私が図書館みたいに満遍なくすべての石を揃えるっていう必要はなくて、自分がいいなと思う石を仕入れてきたら、それを求めてくる人と私が出会うという流れです。
 よく、「石がすごく生き生きしている」と言われますが、本当に生き物を扱うように扱っていて、たぶんお花と同じ様にひとつの命をもって生きてるんじゃないかなって思っています。結晶するのに百年単位で何ミリって結晶する石もあれば、鍾乳洞みたいにどんどん成長する石もあって、やっぱり人間の目に見えないレベルで成長してると思うんですよね。ある時色が変わったり、あるお客様が来ると急に綺麗になったりとか、そういうのを見ているとやっぱり「あぁ、生きてる!」って。

___だから「パワーストーン」と言う?

 やっぱり生き物同士だから、反応するのでしょう。
 人間同士でも、素敵な人と出会うと心がすごく高揚したり、自分がパワーをもらえたって思う様な事がありますが、それと同じようなことだと思います。

___ 選ぶ石によって心の有り様が変わったりするんでしょうか?

 微細なエネルギーですから、無視する事ももちろん出来ますが、それでも何となくその気分にさせてくれるような事はあると思います。
 たぶん一番は、美しいものと出逢ってそれを自分が手に入れる事ができて、それを見た時に「あぁ美しい、綺麗だなぁ」と思う事が、すごく魂の栄養なのかなって気がしています。だから、あんまり、パワーストーンの種類とか作用とかはブッ飛んじゃって「あぁキレイ♪」ってウットリするのが、いちばん心が満たされる事なんじゃないかなと思います。

___「キレイ」の感じ方は人それぞれ違いますよね。

 違いますねぇ。私が表だと思って飾っているものを、お客さまは反対側が美しいと思って、帰りに反対側を表にして置いていったりとか・・(笑)
 で、それもアリだなと思う。あぁこんな美しさを発見した、って。

「出逢い」のプロデュース


___ オーダーはどんな感じで受けるんですか?

 例えば、ミリ単位で絵がファックスされてきて、こういう感じでお願いしますって細かく指定がある場合もあるし、全くお任せです、っていう場合もあります。あなたが作ってくれればそれでいいからって。(笑)

___どっちが楽ですか?

 どうだろう? 何かいろんな挑戦(?)を受けて、それを自分が超えていくところがすごく楽しいかな。
 タイトルや石のイメージだけもらって、私に合う石を探してくださいっていう事もすごく多くて、そういう出逢いをプロデュースすることも私の仕事でもあって、それはなんか・・・楽しい♪
 魔法みたいで。(笑)

キーワードは「創造力」


___ 原石の加工だけじゃなく、いろいろなメニューがありますね。

 そうですね。「石を使って楽しみたい」と楽しめることは、 何でもやっちゃおうかなって。
 リクエストに応じて、例えば真鶴をお散歩したいとか、自然も満喫したいとか、そういう希望があるとそれも取り入れてワークショップにしちゃったり。

___どんなワークショップ?

 ドリームキャッチャーを作るワークショップを、希望があればやっています。
 ネイティブアメリカンが、子供が生まれるとその子供の幸福を祈って枕元につるす道具で、良い夢を捕まえてその子にもたらすように、悪い夢は朝露と共に宇宙へ返す、という祈りが込められている蜘蛛の巣です。

___それを自分で作るためのワークショップ?

 自分で作ることで自分の気持ちがそこに入るし、作っていくプロセス自体が自分自身と繋がっていく時間だったりするので、そういうものを大切にしてワークショップをやっています。
 自分にしかできないアイデアとか色使いとか、そこがその人の個性や創造力なんですよね。そういう素晴らしいものを自分の中から引き出すきっかけにしてほしいなと思っています。

___なるほど「きっかけ」、、

 そうです。素材選びとか、いつ作業を始めるかとか、その時間の流れ次第も本人に任せて、私はいっしょに見てるという感じです。そこが創造力をひきだすひとつのコツになっていると思います。
 自分の夢は自分で叶えていこう、という自発的な「創造力」が私のやっているいろいろな事のひとつのキーワードです。

___左手で絵を描くワークショップをなさってますね。

 左手は直感の手と言われていて、右脳が働くことで感覚が働いてくるんですね。
 例えば絵を描くにしても、上手い絵を描かなくちゃいけないとか、上手いねって言われたいとか、そういう気持ちがあると素直な創造力は使えなくなっちゃうんですよね。 評価されることを意識してしまうと、オリジナルな表現は出てきにくいから、「何でもどうぞぉ」って見ている感じで、あんまり後押ししちゃダメなんですね。
 そもそも表現って、子供の落書きみたいに他愛もなくて楽しいものじゃないかと思っていて、そこに戻ると何かワクワクする気持ちだとか、工夫する気持ちが自然と出てくるんです。そこではもう「どう思われたいか?」っていうのは忘れてもらって「自分がどう表現したいか?」っていう素のところに戻って欲しいと思ってやっています。

___新月のワークショップは?

 「夢を叶える」というのがキーワードです。がむしゃらにすごくいっぱい働いて頑張って夢を叶えていく、というのとはやり方がちょっと違って、半分は宇宙に手伝ってもらってシンクロしながら夢を叶えるというのが目的です。
 このワークショップをやり始めて、新月の度にその企画の事を考えるので、私自身が月のリズムを自分の生活の中に意識するようになりました。あっまた新月が来たとか、あっ満月だぁとか、宇宙のリズムの中に自分が生きているっていう感じにすごくなりますね。 それと、変化していくものに対してあんまり抵抗しないようになった気がします。すごく頑張りすぎたり計画したりとかじゃなくて、自然に物事が進行していくことに任せればいいと思うようになりました。
 個人セッションとかカウンセリングというのは、ひとつの心の世界を見ていくので、「わたし」という命はどういうリズムを持っていてそのリズムはどういう周期で変わっていくんだろうって、 ひとつの生命体を感じるように深いと思っています。
(つづく)


[伊東 知子 さん / プロフィール]

神奈川県真鶴町『風にかえるアトリエ』にて、「目には見えないけど つながってる」をテーマにインスピレーション発信中。
作品づくりの傍ら、各地で作品展を開催。創造的インスピレーションを活かして、アートワークセッションやヒーリングセッションも行う。
(1965年) 信州・北アルプスの麓で生まれ育つ
(1986年) アマチュア劇団入団。みんなでひとつのものを創り上げる喜びを知る
(1990年〜) インドへ渡り、染織を学ぶ
(1994年) 文化庁芸術研修生として舞台衣裳を学び、舞台衣裳家として独立
(1997年) 天然石や自然素材に魅了され、創作ジュエリーをつくり始める
 ビジョン心理学と出会い、「アート・ワークショップ」をライフワークとしてスタート
(2001年) 神奈川県真鶴町に、『風にかえるアトリエ』オープン
 
22:00:00 | milkyshadows | |
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