Complete text -- "身近にある花"

01 July

身近にある花

artist file "tanebito" #03 [4/4] 
土屋 譲 さん(打楽器プレーヤー)


土と夕陽


___これからも演奏活動は小田原をメインでなさるんですか?

 そうですね。
 僕は今、小田原東通りのSPATSをいうライブハウスでミュージック・コーディネイターをしています。そこで、Jazzの大先輩や、これから活躍して欲しい若手のプレーヤーをたくさん呼んで、セッションをしていこうと思っています。

___音楽を通じてネットワークをつくる?

 ミュージシャン同士ではネットワークは出来ているんですが、もっともっと広がって行ったら、と思います。
 後はもう、僕の目指しているのは「自然」ですから、人も自然に集まると思っています。自分が愛する「自然」というものがあって、それを大事にしている人間であれば、自然と僕の所には来てくれる。
 いつも僕は「待ち」なんですが、それで良い人たちと巡りあっているので、それが「自然」かなと思ってます。

___「自然」の中で、リズムセクションとしての立場はどう感じていますか?

 自分は「土」かな。「海」にはなれない。名前が「土屋」だから(笑)。

___「土」として「畑」のように育んでいるものがありますか?

 瞬間瞬間でいろんなことがあって、その日に感じた事や、過去からずっと思っている事もシンコペーションしてますから、それを全部含めて、僕は演奏の中に取り入れて太鼓を叩いています。だから、何が起こるか分からないですよ。

___毎日の夕陽の色が違うみたいに。。

 そう!
 毎日同じ人はいない訳だから、毎日同じ演奏をしていたらオカシイんです。だから、その日の自分に素直に演奏することがミュージシャンなんだと、僕は思います。

___お客さんも一期一会の音を聴く。

 だと思います。
 それを楽しみにしてくれる人が多いので、それが僕の励みにもなるし、楽しい演奏を聴いて帰って欲しいので、精一杯ふりしぼって演奏してます。

全部 脱ぐ


___それが「プロ」?

 聴いている人が「今日は良かった」って言って帰ってくれれば、演奏者がプロでもアマチュアでも関係ないんですよ。境目がどこかにあるとしたら、心の中の「自分はアマチュアだからここまででいいや」っていうような思いだけかな。
 僕自身は、自分がプロだと思っている以上、とにかく自分にあるものを出し切ってハダカになる。太刀打ち出来ないほど素晴らしいアマチュアの人もいっぱいいるので、アマチュアの人が最後にパンツ穿いているとしたら、自分は全部脱いでもいいかな(笑)。

___自分のコンディションを高めていくために心がけていることはありますか?

 全然ないです。(笑)
 昔は恋愛をしなきゃいけないと思った時期もありましたが、ホレっぽくて想い込んじゃって、最後はいつもフラレて最悪なので、それはヤメました。(笑)
 それでも、「音楽」という道は自分とは関係なくあるし、どんな状況でも演った音は素直に返ってくる。
 演奏してる店で、いろんな方と話をします。年配の方も、僕に話しかけてくれる。それが嬉しくて、そんな時は僕も一生懸命に話します。アツ過ぎちゃうのね。
 そこで「オマエ、もうちょっと冷静になれよ」と無言で言ってくれたのが「自然」です。

叩けば音は出る


___土屋さんにとって「自然」というのは大きなキーワードですね。

 うん、重要ですね。
 朝起きてドアを開けた瞬間に、鳥が「チュンチュンチュン」と鳴くだけで、もう「参りました」ですから。それだけの力を「自然」は持っているんです。川の流れや、空気の匂いだとか。すべてが漂っていて、それを感じちゃうと、音を出すのが怖くなる。

___そのうえで、今の地球や社会に対して、ミュージシャンとしてどんなメッセージを送ろうとしていますか?

 僕にとっては、目の前で生きている花を感じること。それが「宇宙」だと思うんです。それを感じられない人には、デカイことは感じられない。
 音楽も同じで、小さなことから始まるんです。ドラムセットが無くても、その辺を叩けば音は出るでしょ? 「音」ってそういうものなんです。「ポーン」と叩いて、「なんでこんなに響きが良いんだろう」とか感じる。それを拡大すればいいんです。
 身の回りには「小宇宙」があるので、それを感じていれば、小さいところから始まると思います。

身近にある花


___一リスナーとして思うことですが、どうしてもっとたくさんの人に聴いてもらおうとなさらないんですか?

 (笑)
 店に来て聴いてください、って思います。それが一番生き生きした演奏が出来ているから。
 僕は、特別有名になりたいとか、すべての人に聴いてもらいたいとか、あんまり思わないんです。まず小田原でも出来ていないのに、東京だとかNYだとか、どこへ行っても無理でしょ。
 さっき言った「身近にある花」と同じです。どこかへ行けば何かが成り立つ、という考えではないです。
 例えば、僕は小田原で演っていて、日本でも力のあるプレーヤーが来てくれています。それでも、小田原の人は知らなかったりするし、有名な人が来れば良い演奏という訳でもない。要するに内容なので、僕が演奏をまとめて行けば良いし、そういう意味での自身はあります。僕が、呼んだプレーヤーの心を動かして、演奏に変化を出して行けばいい。演奏が終わって、「違う体験をした」と言って帰ってもらえれば御の字じゃないですか。

___「コーディネイター」という立場なんですね?

 コーディネイターなんだけど、俺だって冒険しています。無理矢理でなく、自然にね。
 相手も予測をしない状態で来ているから、帰る時に「え!こんなヤツもいるんだ!」って思って帰ってもらえればいい。

___小田原に呼ぶミュージシャンは、どのような繋がりなんですか?

 木と同じなんです。枝分かれしていて、誰かが誰かを呼ぶ。ミュージシャンの繋がりってモノ凄いんです。一人に電話すると、1時間で100人に繋がるくらい。
 そうやって知り合って、信頼し合って、どんどん増えて行く一方です。

___逆に誘われて出て行って演奏することもあるんですか?

 もちろん、そういう時は行きます。
 僕は今までもほとんど小田原にいて、今は任されている店もあるので、出て行って知り合った人を小田原に呼んで演っています。一番やりがいを持って演っている店なんです。


22:00:00 | milkyshadows | |
Comments

あさくら wrote:

ゆず、かっこいい。
11/16/07 15:19:16

ゆず wrote:

今の俺を見に来てください。
11/19/07 11:39:56
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