Archive for 06 May 2007

06 May

「海の思想」

artist file "tanebito" #01 [4/4] 
伊東 知子 さん(創作ジュエリー作家 / 風にかえるアトリエ

呼吸のリズム


___海の波の回数は、人間の呼吸の周期に近いんですってね。

 日常であれほどゆっくり呼吸するのは、なかなか出来ないですよね。
 現代社会では、早く呼吸することを求められる。早足で歩くことを求められるから、その期待に応えるように、だんだん呼吸も早くなっていって、吐き出すのが少なくなって、溜まっちゃうんですね。

___ それに気づいたら、自発的に改善するコツがあるかしら?

 自分の呼吸を意識することも、ひとつのコツかな。
 私、作業中に息を止める癖があって、最近は作業が一段落したときに深呼吸するようにしてる。酸欠になればなるほど、妙にトランスに入ってくみたいなところもあって、その呼吸が作品のリズムになってくる。

___呼吸のリズムと言えば、海の波の回数が呼吸と近いから同調していくように、石にも波動があるんですよね。

 そうですね。波にさざ波があったり大きな波があったりするように、石にも、形によって色によって違ういろいろな種類のリズムがありますね。

___石に触れるといろいろな感覚を感じるということは、やっぱり人は何処かでそういうことを感じるセンサーがあるということなのでしょうか?

 情報は受け取っていると思います。意識のあるなしに関係なく。
 例えば、ゆっくりおおらかに過ごしたいのに周りの環境はそうではないという時に、ゆっくりおおらかな感覚のする石を自然に手に取っちゃう。それで、その石を握ってるとなんとなくリラックスする感じがする。

自分を創る力


___潜在意識で先に気づいているんですね?

 はい。だから、石を直感で選んでもらうのは、今自分にどんな石が必要なのか潜在的に答えがあるからこそ、そこを手がかりに石を選んで欲しいからなんです。
 潜在的なパワーや、自分を創っていく力って、本当に凄いですね。

___ 自分を創っていく力。。

 はい。創造力。明日の自分を創っていく力。だから、癒しも、その創造力の一部分ですよね。

___たしかに「癒し」と「創造」は、そこで起こる出来事が同じドラマだと思います。

 そうなんです。
 古いものが片付いたとたんに、ドアがバーンと開いて新しいものがバーッと入ってくるのは、ほとんど同時に起きてきますよね。だから「癒す」というのはドアの前の荷物を片付けることで、片付いてドアが開けば新しい出会いやお金の流れだとかワーッと自然に入ってきちゃう。
 お金持ちになりたいとか、ビジネスを成功させたいと言うのなら、最終的に、流れを止めているドアの前の荷物を片付けなくちゃいけない羽目になる。で、片付けると新しいものが始まる。

海の思想


___ところで、3年前のコラム『SoulBeauty』について聞かせてください。
 「そもそも“美”は、衣食住に対してどういう位置づけなんだろう?」という問いから始まったのですが、書いていていかがでしたか?


 今読み返すと、よくまとまってると思う。びっくりするくらい。
 ある石をお客さんが見つけて「あぁ綺麗」って言う時に、そのお客さんも綺麗なんですよね。石とお客さんと両方が綺麗だ、って思って。
 あのコラムでは、そういう日々感じているけど言葉になっていなかった事をまとめさせてもらったって感じです。

___書きながら気づいた事も多かったですよね。

 テーマ毎にそこから引き起こされるものもあって、「海の思想」がそうでした。それがキッカケになって、ひとつのまとまりのあるものがそこから触発されて、それが今すごく大事になっている。

___「海の思想」がピンと来たのは、どういう部分だったのですか?

 アクアマリンという、「海の女神」と呼ばれている石があるんです。
 海って何でも受け入れちゃうでしょ。その中に魚も住めば、船が行ったり来たりもしてて、ダイバーがその中を泳ぐし、大型タンカーが座礁しても、それすらも海は「どうぞ」みたいな。そういう存在って凄いと思う。
 川のように上から下に流れるわけでもなく、すべてを内包してる。
 海と女神性のつながりを、あのコラムであらためて確認しました。

___すべてが繫がっている。

 たぶん空気もそうなんだと思うんだけど、地球の裏側までずっと空気だから繫がってるんだけど、あんまり実態がないから意識できない。海っていうのは、命のつながりをもっと理解しやすいかな。

___母性とも繫がりますよね。生命を育んだ海。

 そうですね。「母なる地球」って言うけど、「父なる地球」って表現はない。すべてを受け入れる、って母性っぽいですね。

___どうして「父なる地球」って言わないんでしょうね?(笑)

 ね(笑)。命を自分の中に宿す、という感覚は「母」っぽいよね。そこがとっても重要なんだと思う。
 自分の中にはヒーラーや神はいないと思っちゃうのがそもそも間違いで、自分の中に答えも、創っていく部分も、癒していく部分も、全部その力はあるんですよね。自分の命をまるごと受け入れる感覚からスタートする。

___ 例えば、宇宙船が地球から離れて遠くまで飛ぶためにそれなりの体裁を整える必要があるように、男性性っていうのは、一旦宇宙のリズムから切り離された合理性があると思う。それが良さで、種という形にして遠くまで運ぶ。

 多分、感覚的なシステムとか、身体やホルモンのシステムが違うんでしょうね。 それ故、すごく大きな仕事が出来る力になる。

___きっと今の時代は、着陸地点を求めてるのかも知れないですね。 運ばれた種が着陸して、母性的なエネルギーでそこからまた新しい次の芽が開いていくという。

 宇宙船に例えるとしたら、外からエネルギーを入れないと走らない宇宙船だったのが 自分の中で燃料を創り出せるタイプに変わる時なんじゃないかな。

___環境問題も、きっと突破口はその辺ですね。

 そうだと思う。外側から入れて外のものを食べ尽すというスタイルじゃなくて、自分の内側のエンジンや燃料が働いて循環していくシステムになっていくんじゃないかな、人間も。
 
___それは、気づけばできるでしょうか?

 もちろんです! 本来、そうした方が、たぶん気持ちイイ。
 初めて自転車に乗るときみたいなんだと思う。最初は乗り方が分からなくて転んだりするけど、乗ったら「ナンだ、こんな簡単♪」って感じ。

___人類が初めて二本足で歩いた瞬間もそうだったかも知れないですね。きっと周りはびっくりしただろうし。

 赤ちゃんが歩く時、どうして歩きたいと思うかと言うと、お母さんが喜ぶからじゃなくて、 別な目線で見られるとか 好奇心の方がメインなんですって。ハイハイで床に近い目線だったのが、ちょっと高い所から見ると世界が広がる。

___自発的な動機なんですね。

 例えば好きなぬいぐるみがあって、そこに行くまでに、今までのハイハイで行った方が絶対早く取れるのに、 あえて難しい作業なのに立って行こうとする。 もちろん、 お母さんが喜んだ方が早くマスターするらしいんだけど。
 だから勇気あるんだよ!やっぱり。未知の方へ、本能が自然とかりたてる。

___勇気、ありますよねぇ!しかも、そういうことに気づくというのは、プログラムされたかのような奇跡ですよね。

 うんうん、奇跡!
 勇気はね、プログラムされてるんだよね。誰にも、もれなく!(笑)選ばれた人だけが持つものではなくってね!


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ハワイに降る雪

journal & report [1/2] 
ナチュラル・ヒーラー / MAX さん

「ヒーリング」


___Maxさんはこうして時折ハワイから日本にいらして、ヒーリングの活動を水戸黄門のように行脚されていらっしゃいます。どんな感じで、どんな所を廻ってらっしゃるんですか?

 今回は横浜から始まり、こちら小田原、箱根、その後西の方へ廻って行きます。名古屋、滋賀、神戸、広島、博多。そして東京へ。今回、滞在は2週間です。

___「ヒーリング」というと、どんな会をなさってるんですか?

 その場所によって全く変わるし、会う人がどういう方なのか、毎回変化がありますから、まったく自分も予想つかないですね。あえて「ヒーリング」と言ってしまっているんですけど、自分の中では肩書きにならない肩書きと言うか、人間全員ヒーラーであって、やっていることはすべてヒーリングであるべきものだろう思うんです。
 今日本では「ヒーリング」という言葉が分かりやすいだろうと思って使っているんですけど、僕が皆さんに言っているのは「人間は生きている以上、人生そのものがヒーリングであって、皆さんがヒーラーである。だから特別なことじゃない」っていうことです。

___なるほど。「ヒーリング」という言葉は、一般名詞になってきていますものね。

 ちょっと怖いのは、先入観が強くなってしまって、たとえば「ヒーリング・ミュージック」というと非常にメロウな癒しの音楽だという固定観念があるんだけど、僕は全くそうは思わなくて、ロックであったりジャズであったり、その人がどう感じるかなんです。
 英語で言うと「inspire」という言葉に近い感覚です。「その人が生来持っている生きる力に気づく」という感じです。
 それは何かと言うと、例えば美味しいコーヒーを飲んで「あぁ」と思ったり、夜疲れて帰りがけに寄ったバーで、そこのバーテンダーさんがカクテルをいれてくれたり。
 美容師もそうですよ。何かを与えるんじゃなくて、逆に髪の毛を切って取っちゃうんですが(笑)
 取るというか、浄化、循環させていく方ですよね。新しい自分を見せる、その人を主人公としてその人を引き出してくる、気づかせるっていう、そのお手伝いというかキッカケ作り。そう思えば、どんな職業も素晴らしいヒーリングでありヒーラーであると思うんです。

___とても分かりやすいですね。もともと持っているものを引き出すっていう部分では、私も美容師はヒーラーなんだ思っています。解決方法は、各々がもともと持っているのでしょうね?

 各々の中に持ってますね。
 よく「エナジー・ヒーリング」とか言ったりするように、エネルギーを与えたりするような、そういった方もいていいと思う。食べ物を提供するような、「与える」ということも素晴らしいことだと思うんですが、先ほども言ったように、もと佳さんなんて髪の毛を切っちゃうわけで、何かを「与える」んじゃないわけなんですよね。
 だから僕が言っているのは、その人が抱えてしまっている本当はいらないようなものを「捨てる」ことを手伝うようなことなのかも知れない。なかなか捨てられないのが今の人間ですから、取るとスッキリして、見えてくる。

___「浄化」みたいな言葉も当てはまるかしら?

 そうですね。「浄化」というと、お水もそうなんですが、どんなキレイなお水も流れがなくなるとと汚れていくわけで、そうして汚れたお水を身体の中に持ってしまうような状態が「病気」なんです。
 そもそも人間みんな病気だと思うんです。その病気を自ら癒していく、その時間を与えられたのが人生なんだと思います。
 ですから、なかなかそれに気づかない時に、「こんな感じじゃない?」というのを少し感じてもらう。それで、自分の中に溜まっていったものが流れたり動いたりすると、すごく心地よく感じる。
 だから、良い悪いというものではないんですよね。

Wonderful Life


___Maxさんはそれを具体的にどういう方法でなさるんですか? 私たちはハサミでやりますけれど。。

 それは相手によって変わりますね。例えば音楽であったり、身体に触れたり、会話もそうだと思うし、本当に予想がつかないですね。会場によっては、黒板を使って図式を書いたりしながら宇宙の話をしたり。それによってパッと気づいてくるということもあって、自分自身、いつも新しい発見です。やっていて楽しいし。
 「ヒーラー」というと、いわゆる何かの霊が、とか言う人もいて、そういうこともあるかも知れないですが、あえて僕はそういうことを話そうとは思わないですね。それは解らないでいいんじゃないかな、と思う。解かっちゃったら人生つまんないんじゃないかな。
 ハワイ島にいて、ちょっと離れた所から今の日本を見ていると、みんな誰かに教えてもらったり決めてもらったりし過ぎるように見えることがある。「それで人生おもしろいのかなぁ? 本当はちょっと違うんじゃないかなぁ?」と思って、それで日本に来るわけなんです。
 僕は、ハワイにいる時はマウナケアという山でガイドをやってます。そして山に上がるけど、いつも分からないんですよ、今日の夕日がどんなものか、今日の星がどんなものか。もちろん、ある程度の予想はつくけど、やっぱり解らないわけですよ。それが面白い。その場その場で感じることが驚きだから、すごい歓びになるわけで、しかもそれは自然のものだし、他人から「こうですよ、ああですよ」って言われるものじゃないんですよね。
 「人生はwonderful」ということ。「wonderful」とはどういうことかと言えば、不思議(wonder)が満ち溢れてる(full)っていうことだし、「I wonder 〜」と言うと「解らない」です。解らないから面白い。
 それを思い込みで決めつけていたり、自分で解らないから他人に聞くという方向では、「日本、大丈夫?」って感じてしまう。

ハワイに降る雪


___ヒーリング活動のキッカケはどんなことだったのでしょうか?

 僕自身、交通事故にあったり、ヒーラーと呼ばれる人に会ったり、気功をしてる人に会ったり。自分の身体を直すという、自分の身体を通しての経験から、感じたり、気づいたり、ということですね。毎日の日々の積み重ねですから、小さな小さなもので、どれをひとつのキッカケにするかいうのは、非常に難しいと思うんです。
 やってるうちに気づくこともいっぱいあるんですよ。LAにいて、オアフ島にいて、ハワイ島にいて、今はマウナケアという極地に近い環境に行く。
 みなさんはハワイと言うと暖かい常夏の島だと思ってる。私たちは常冬って言う。寒いんですよ(笑)雪が降るんです。みんなビックリするんだけど、ハワイで雪が降るんですよ!

___標高が高いんですよねぇ。。

 毎日0mから4205mまで上がりますからね。そこに行くと、寒い時はマイナス10度。だからみんなビックリするんですよ。

___山頂までハイウェイが走ってるそうですね?

 ハイウェイではないですが、山頂まで車で行けるんです。山の形状がなだらかなので、とても富士山より高い山とは思えない。途中は四駆でしか行けない砂利道になるんですが、そこまで行くと、そこは森や林が全く育たない森林限界点、ツンドラ気候という世界で2番目に寒い所なんです。
 ところが、寒くて雪が降るべきマウナケアに、この数年、雪が降らなくなっちゃったんです。極地にいて自然に接していると、地球の温暖化ということを肌身で感じるんです。目に見えて分かる。去年からは、全く雪が降らなくなっちゃった。スキーが出来なくなっちゃった。
 「マウナケア」の「ケア」は「白い」という意味で、雪が降るから白い山。そのマウナケアが「マウナケア」じゃなくなってきてしまった。それは、5〜10年前から徐々に言われてきたのが、ここまで顕著になってきた。雪が降らないことによる連鎖反応、つまり雨がない、水がないわけですから水が枯れて行く。
 だから今気になっていることは、やっぱり環境問題だったり、地球温暖化ですね。「ヒーラー」と言いながら、ほとんどの話が今そこに裂かれています。

___そういう解決も、やっぱり一人一人の中にある、、?

 中にしかないですね。間違いなく。一人一人の生き方の問題ですよ。
 「自然」のことを自分から切り離して、まるで自分の問題でないような外のことに感じるけど、私たち自身が「自然」であって、自然の中に生きている。そこを感じて欲しいし、気づいて欲しい、ということが究極の自分のヒーリングなんです。
 どこか自分が傷んだりしていて、そこに気づかなくなってるというのが一番の病気というか、一番癒されなきゃいけないところなんだと思うんです。
 マウナケアは世界でもっとも星がキレイに見える所で、すばる天文台をはじめ世界中の天文台があって、僕も天体観測します。望遠鏡でいろいろな星を見せたりして、星座の話をするんです。その時に「宇宙」の話をすると、みんな宇宙って遠く彼方のことだと思っちゃうんですよ。僕たちが立っているこの地球も星の一つだ、ということを忘れちゃってるんですよね。宇宙旅行に行きたいと言うなら、「はい、ここが宇宙ですよ」って。(笑) それを気づいてないんですよね。
 どうして気づかなくなったかと言うと、例えば都会で忙しい生活をしてると、沈む夕陽を見たり、上る朝日を見たりすることを忘れちゃう。沈む夕陽を見ると、地球の自転を感じるわけなんですよ。「あ、動いてる」っていう変化する自然を感じるんです。そういうことを体感することがとても少なくなっている。それを感じてもらいたい。
 宇宙の中にいて、自分たちが宇宙の一部なんだ、という、それを忘れたことが、おそらく人間の病気の始まりなんじゃないかな、って思うんですよね。今、ココが、宇宙なんですよ。
(つづく)


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