03 August

「いただきます」

artist file "tanebito" [Archives #2] 
白澤 秀樹 さん & 吉原 亜希 さん(ManaBurgers

「食」という字を見ていただければ、「人が良くなる」と書くんです
生き生きと豊かに生きる大きなポイントの一つだと思います。


___ 「食」という切り口で、いろんなことが見えてきますね。

(tra)
 深いですねぇ。
 「食」という字を見ていただければ、「人が良くなる」と書くんです。それで全てが解決するとは思わないけど、少なくとも、生き生きと豊かに生きる大きなポイントの一つだと思います。
 三度三度のものですし、これが本当に美味しくてヘルシーだったら、これは楽しいですよ。これだけチョイスできる時代は、今までの人類始まって以来ですし、もちろんマイナスの部分もありますが、毎日三回楽しめますからね。

(aki)
 原材料を見るっていうのも、一つの手段。
 植物性とか無添加とか大きく書いてあっても、裏を見るとねアミノ酸って書いてあって、すごくトリッキーなので、大きな表示に惑わされないように注意しましょう!

(tra)
 同じ醤油が二つあるからね。表示が適切に書かれてるかどうかも、問題としてありますね。
 磯部先生という方のおっしゃった『良い食品の4条件』というのがあって、僕はこれが一番の核になるべき物だと思っているんです。
 一つは「 安全であること」。もう一つは「ゴマカシのないこと」。それから「味のよいこと」。最後に「品質に応じた妥当な価格」。
 この四つがね、風土を超えて、本当に食べ物の4条件だと思うんです。 特に、送り手であるレストランビジネスや食品工場は、一番考えなくちゃいけない当たり前のことなんです。
 だけど、この四つを全部加味した食べ物って、あんまり無いんですね。例えば健康食品は妙に高かったり、あるいは不味いかったり(笑)
 食べ物だから、「美味しい」というのが大前提で、残りの三つがそれにくっついてくれば、一番最高だと思う。

___手軽に選べたら良いですね。

(tra)
 これからは増えてくると思いますよ。
 食べ物の世界に限らず大きく二極化してゆく中で、これから益々ファーストフードはある種の必要性を増すでしょうけど、反面、それとバランスとる為のことも益々増えてくると思うし、又そのために自分たちも仕事をしているんです。
 そういう意味では、TVで本当に正しい情報が流れているとは限らないですからね。
 ヨーグルトと味噌汁を比べたら、味噌汁の方を日本の人達には薦めたいですね。日本は発酵文化ですから、日常の中でそういうものを自然に食べれるようになってるんです。漬け物もそうです。
 発酵食品は、腸に何らかの形でプラスですからね。

(aki)
 腸で血液はがつくられてるんです。現代医学だと脊髄でつくるって言うけど、腸が「肝心要」のポイントなんですよね。
 あと、腹筋。椅子の生活や電化製品の普及で、日本人は正座をしなくなったし、床を拭かなくなってきた。その筋肉の弱まりと、お腹の「丹田」、 女の人だったら生理不順とか流産とかは関係してる。
 便秘してるとボーッとするし、腸は脳と繋がってる。トイレにスッキリ行けた時って、頭もスッキリするでしょ? 腸がしっかりしてると、頭がまわる。

___本当に繋がっていることを実感します。

(aki)
 次から次へ繋がっていくから、本当に面白いよね。食べてからの繋がりと、食べる前の物の繋がりとか。

(tra)
 自分の体験から言うと、僕、便秘体質だったんですよ。昔はね、ジャンクフード最高だと思ってましたからね。(笑)
 両極端やったからよく分かるんですけど、植物性主体の食生活だと、便秘はあっという間に治りますね。全然違う!
 便秘の時にはね、自分が便秘だって分からなかったんですよ。前は、一週間ぐらい出なくてもカッコイイと思ってましたからね。(爆笑)
 「オマエ、そんなの時間の無駄!」みたいな。(笑)

___現代生活はスピードや効率が要求されるから、ついつい食事もそうなってしまうんでしょうね。

(tra)
 そうですね。それがまた一つの美徳ですものね。
 音楽だって早いものが流行ってるように、今のリズムはやっぱり確かに早いんだろうけど、 生き物としては、本来の自分達には早すぎるところが確かにあるでしょうね。そのギャップが、いろいろな意味で身体に表れたり、精神に表れたり、歪みがストレスとして表れるんだと思います。

アマゾンでは、熱帯雨林を燃やして、
地平線の遥かかなたまで大豆畑になってるんです。



___「食」という切り口は、間口が広いですね。

(tra)
 日々、三度三度のものですからね。
 食べ物がこれだけ豊かになったのは、人類の歴史でもそんなに古いことではないんですね。
ですから、その時代に生きてる僕らは幸せなんです。
 だけど反面、便利が行き過ぎて、生きる為のエネルギーという観点でみると、今の食の便利さがかえってマイナスになってる。それが、僕らにとって、伝えたい一つのテーマなんです。

___その辺が、大きく言えば環境問題に繋がってくる。。

(tra)
 そうですね。
 食べ物って、身体の健康状態や体内環境にも関係してくるし、もちろん心にも関係してくる。その食べ物が何処からきたのかと外側に考えると、特に日本は今、食卓に並ぶ食べ物の60〜70%は海外ですからね。
 じゃあ「海外で作られたものが日本で作るものより安いって、どうなってるの?」って。
 リアルに言えば、今、大豆がスゴイんです。ブラジルの熱帯雨林を燃やして、地平線の遥かかなたまで、一面大豆畑になってるんですよ!
 ちょっと前までは、牛肉がそういう形だったんですが、今はそれが大豆まで来ている。日本の食文化は大豆なのですが、自給率は5%を切っている。そうすると、ベジタリアンだと言っても、熱帯雨林がなくなってしまうことに関係しちゃってる。
 「じゃあどうしたら良いの?」ということになりますが、それを知っているのと知らないのとでは違うと思う。

___ その問題に対しては、何かアクションは起きているのですか?

(tra)
 アマゾンでは、熱帯雨林を自治区みたいにして守る運動が起きてるんです。これ以上大豆畑にならないように、現地の方やNPOの方達が、今残ってる物をまず残そうというスタンスで取り組み始めている。
 だけど、今の段階ではなかなか木を植えることまでは出来ないですね。将来には、その大豆畑を何らかの形で戻すようなことも出来てくるとは思うんですけど。

___ 世界的に人口が爆発的に増えている中で、どこかが生産地としての役割を担う必要がありますよね?

(tra)
 これはあくまでも数字としての考え方ですが、今、世界では1/3くらいの人が、悲しい話ではありますが、飢えていて、かたや先進国では食べ物の1/3くらいは捨てられている。 すると単純に数字だけ見れば、捨ててる食べ物が彼らのところに行けば、皆が食べられる。
 もちろん、政治やら経済やらいろんなものが絡んでくるので簡単ではないですが、基本的にはこの地球に今あるシステムを上手く使えば、まだまだ皆が食べていけるだけの食べ物は出来ると思います。
 分配のシステムを確立すれば、充分解決できると思うんです。

例えば、冷蔵庫をいっぱいにしない。
食材は、すべて使い切っちゃう。
美味しいし環境にも良いし、たくさんラッキー♪


___そういう事を知ったうえで、何かキッチンで出来るアクションがあるでしょうか?

(aki)
 例えば、冷蔵庫をいっぱいにしない。
 無くなるまで買い物をしない。買い置きをしないで、使い切る。そうすれば、新鮮なものを買えるし。
 あと、一番良いのは自分たちで食べるものは、少しでも作れるようにする。

(tra)
 食材は、すべて使い切っちゃう。「一物全体」とも言いますけど。

(aki)
うん。例えば巨峰とかって、皮と実の間が一番美味しいって聞いたことないですか?それって、
人参にも大根にも言えるし、皮との間に一番旨さが詰まってるんです。
 それ丸ごとで人参だから、それを使うことによって旨みもでるし、ゴミもないし、剥く手間もないし、料理の下準備が面倒じゃなくなる。
 皮剥かないって 、最初は「え?」と思うけど、すごく美味しいし、楽ですよね。

___野菜の下ごしらえって、結構手間がかかりますものね。

(aki)
 お米にしても、玄米を食べだしてからシンプルになった。
 玄米ってあんまり洗わないで良いんですよ。白米は濁りがなくなるまでちゃんと洗わないと糠臭くなる、って言われる。でも玄米って、2〜3度お水を替えるぐらいでOK♪。
 玄米でも、発芽玄米を自分で作り出してからは、もう全く洗わないで良い。バットに玄米を入れて、水を張って毎日取り替えるだけ。それでもう、取り替えてるのが洗ってる状態だから、あとは炊くだけ!
 美味しいし環境にも良いし、一石二鳥どころか、たくさんラッキー♪

(tra)
 日々のものだから、楽しさと共に楽さ加減は絶対必要ですからね。

___続けられないと、意味が無いですものね。

(tra)
 植物性の料理は、一見手間がかかって大変に思われがちなんだけど、実はどんどん楽になってるんですよね。

(aki)
調理も下ごしらえも、シンプルなのが一番。美味しいし!

(tra)
だからオーガニックっていうのが大事になってくるんですよね。丸ごと食べるから。
だけど今の時代、百点満点はなかなか難しいですからね。ベストを求め過ぎてしまっては、良いもの食べても楽しそうじゃない。

(aki)
 いくらオーガニックだからと言って、萎れたオーガニックは嫌だしね。新鮮な方がいい。

(tra)
 僕は昔、自然食品屋もやっていて、北海道や九州から無農薬のオーガニック野菜を仕入れてたことがあるけど、結果として三重苦ぐらいになっちゃうのね。どういうことか言うと、一つは、採ってから日にちが経つので、葉物はやっぱり萎れちゃう。それに、ただでさえコストが高いうえに送料が加わる。
 農薬に関しては、お百姓さんが一番分かってるんですよ。だけど、流通とかいろんな仕組みが、結局使わざるを得ない。買う人たちも、頭では分かっていても、スーパーに行けば、萎れてたりいびつではない、見た目がキレイな方を手に取っちゃう。それはお百姓さんが悪い訳じゃなくて、今のシステムが問題なんです。
 だから僕らが勧めたいのは、やっぱり生鮮品は近場のもので揃えるのが一番賢い。値段も安いし、新鮮だし。
 小田原とかこの辺は、有り難いことに、お百姓さんがまだいらっしゃるじゃないですか。ですから、近くにいるお百姓さんたちが自分たち用でつくってますから作っているものを分けてもらう ようにするのがひとつのコツですね。農薬的なことも、ある程度コントロールしてるでしょうし。
 100点満点は無理にしても、それぐらいが丁度良い加減じゃないですかね。

「いただきます」


(aki)
 インドの修行僧の話を聞いたことがあって、ある修行僧が山から下りて次の山に行く間に、町を通って、食事をするのに食堂に入って、そこで出された食事を食べたら、突然、苛立ちを感じたらしいの。で、修行僧だから、「この自分の感情はどこから来たんだろう?」と思って、キッチンを覗いたら喧嘩しながらその料理をしてた、っていうお話。

___その波動をもらっちゃった?

(aki)
 やっぱり、伝わる。
 自分でも実際に体験したことあるし、もうちょっと向こう側まで見れば、偽りのないものっていう話にも繋がってくる。生産者の顔が見えるもの、とか。
 そうやってグルグル考えると、作物は天から降る雨の恵みで出来ていて、その雨がキレイじゃないと、って環境問題に繋がってきて、それが自分の所に返ってきて。。
 本当に、キッチンの中でグルグルしてます。(笑)

___そういう大きな「輪」を考えると、「いただきます」っていう言葉はスゴイですよね。

(aki)
 マントラですよね!

(tra)
 「いただきます」と「ごちそうさま」っていう言葉は、「もったいない」と同じように素晴らしい言葉だと思う。世界中、有りそうで無いよね。長いお祈りはあるけど。
 「いただきます」は、「これから食べるよ」っていう合図でもあるけど、「すべてに感謝」っていうのをたった一言で表現しているし、「ごちそうさま」は、食べてお腹いっぱいになった自分の満足を表す言葉でもあるけど、食べるってことは何かの命なりエネルギーをもらうワケだから、それに対する「感謝」ですよね。
 それを日常の中で、普通に日々営まれている、っていうのが素晴らしいし、理想ですよね。

___命をいただく。。

(aki)
 私たちは食べ物で出来上がってるから。

(tra)
 本当に、実際そうだからね。
 命にありがとう、命にごちそうさま、って思うんです。




ManaBurgers FUKUOKA 2008.9.吉日 OPEN !

Manaburgersは、ジャンクフードのポップな手軽さと ナチュラルフードの安心とヘルシーを融合した新しいスタイルの楽園バーガーショップです。
100%植物性素材を使い、ローカロリー、ノンコレステロールという驚きの“NATURAL JUNK FOOD!”。
Manaburgersの“MANA”はハワイ語で“エナジー”を 表す言葉。
ハワイ帰りのスタッフと共に、日本初の VEGIE BARGER SHOPが
福岡からスタート!

more info ⇒ ManaBurgers オフィシャルサイト

20:00:00 | milkyshadows | |

23 December

平「和」食 フロムバビロン 

artist file "tanebito" [ 2007 special selection 1/2 ] 
白澤 秀樹 さん & 吉原 亜希 さん(食と暮らしの研究室 / TAO Lab

「食」という字を見ていただければ、「人が良くなる」と書くんです
生き生きと豊かに生きる大きなポイントの一つだと思います。


___ 「食」という切り口で、いろんなことが見えてきますね。

(tra)
 深いですねぇ。
 「食」という字を見ていただければ、「人が良くなる」と書くんです。それで全てが解決するとは思わないけど、少なくとも、生き生きと豊かに生きる大きなポイントの一つだと思います。
 三度三度のものですし、これが本当に美味しくてヘルシーだったら、これは楽しいですよ。これだけチョイスできる時代は、今までの人類始まって以来ですし、もちろんマイナスの部分もありますが、毎日三回楽しめますからね。

(aki)
 原材料を見るっていうのも、一つの手段。
 植物性とか無添加とか大きく書いてあっても、裏を見るとねアミノ酸って書いてあって、すごくトリッキーなので、大きな表示に惑わされないように注意しましょう!

(tra)
 同じ醤油が二つあるからね。表示が適切に書かれてるかどうかも、問題としてありますね。
 磯部先生という方のおっしゃった『良い食品の4条件』というのがあって、僕はこれが一番の核になるべき物だと思っているんです。
 一つは「 安全であること」。もう一つは「ゴマカシのないこと」。それから「味のよいこと」。最後に「品質に応じた妥当な価格」。
 この四つがね、風土を超えて、本当に食べ物の4条件だと思うんです。 特に、送り手であるレストランビジネスや食品工場は、一番考えなくちゃいけない当たり前のことなんです。
 だけど、この四つを全部加味した食べ物って、あんまり無いんですね。例えば健康食品は妙に高かったり、あるいは不味いかったり(笑)
 食べ物だから、「美味しい」というのが大前提で、残りの三つがそれにくっついてくれば、一番最高だと思う。

___手軽に選べたら良いですね。

(tra)
 これからは増えてくると思いますよ。
 食べ物の世界に限らず大きく二極化してゆく中で、これから益々ファーストフードはある種の必要性を増すでしょうけど、反面、それとバランスとる為のことも益々増えてくると思うし、又そのために自分たちも仕事をしているんです。
 そういう意味では、TVで本当に正しい情報が流れているとは限らないですからね。
 ヨーグルトと味噌汁を比べたら、味噌汁の方を日本の人達には薦めたいですね。日本は発酵文化ですから、日常の中でそういうものを自然に食べれるようになってるんです。漬け物もそうです。
 発酵食品は、腸に何らかの形でプラスですからね。

(aki)
 腸で血液はがつくられてるんです。現代医学だと脊髄でつくるって言うけど、腸が「肝心要」のポイントなんですよね。
 あと、腹筋。椅子の生活や電化製品の普及で、日本人は正座をしなくなったし、床を拭かなくなってきた。その筋肉の弱まりと、お腹の「丹田」、 女の人だったら生理不順とか流産とかは関係してる。
 便秘してるとボーッとするし、腸は脳と繋がってる。トイレにスッキリ行けた時って、頭もスッキリするでしょ? 腸がしっかりしてると、頭がまわる。

___本当に繋がっていることを実感します。

(aki)
 次から次へ繋がっていくから、本当に面白いよね。食べてからの繋がりと、食べる前の物の繋がりとか。

(tra)
 自分の体験から言うと、僕、便秘体質だったんですよ。昔はね、ジャンクフード最高だと思ってましたからね。(笑)
 両極端やったからよく分かるんですけど、植物性主体の食生活だと、便秘はあっという間に治りますね。全然違う!
 便秘の時にはね、自分が便秘だって分からなかったんですよ。前は、一週間ぐらい出なくてもカッコイイと思ってましたからね。(爆笑)
 「オマエ、そんなの時間の無駄!」みたいな。(笑)

___現代生活はスピードや効率が要求されるから、ついつい食事もそうなってしまうんでしょうね。

(tra)
 そうですね。それがまた一つの美徳ですものね。
 音楽だって早いものが流行ってるように、今のリズムはやっぱり確かに早いんだろうけど、 生き物としては、本来の自分達には早すぎるところが確かにあるでしょうね。そのギャップが、いろいろな意味で身体に表れたり、精神に表れたり、歪みがストレスとして表れるんだと思います。

アマゾンでは、熱帯雨林を燃やして、
地平線の遥かかなたまで大豆畑になってるんです。



___「食」という切り口は、間口が広いですね。

(tra)
 日々、三度三度のものですからね。
 食べ物がこれだけ豊かになったのは、人類の歴史でもそんなに古いことではないんですね。
ですから、その時代に生きてる僕らは幸せなんです。
 だけど反面、便利が行き過ぎて、生きる為のエネルギーという観点でみると、今の食の便利さがかえってマイナスになってる。それが、僕らにとって、伝えたい一つのテーマなんです。

___その辺が、大きく言えば環境問題に繋がってくる。。

(tra)
 そうですね。
 食べ物って、身体の健康状態や体内環境にも関係してくるし、もちろん心にも関係してくる。その食べ物が何処からきたのかと外側に考えると、特に日本は今、食卓に並ぶ食べ物の60〜70%は海外ですからね。
 じゃあ「海外で作られたものが日本で作るものより安いって、どうなってるの?」って。
 リアルに言えば、今、大豆がスゴイんです。ブラジルの熱帯雨林を燃やして、地平線の遥かかなたまで、一面大豆畑になってるんですよ!
 ちょっと前までは、牛肉がそういう形だったんですが、今はそれが大豆まで来ている。日本の食文化は大豆なのですが、自給率は5%を切っている。そうすると、ベジタリアンだと言っても、熱帯雨林がなくなってしまうことに関係しちゃってる。
 「じゃあどうしたら良いの?」ということになりますが、それを知っているのと知らないのとでは違うと思う。

___ その問題に対しては、何かアクションは起きているのですか?

(tra)
 アマゾンでは、熱帯雨林を自治区みたいにして守る運動が起きてるんです。これ以上大豆畑にならないように、現地の方やNPOの方達が、今残ってる物をまず残そうというスタンスで取り組み始めている。
 だけど、今の段階ではなかなか木を植えることまでは出来ないですね。将来には、その大豆畑を何らかの形で戻すようなことも出来てくるとは思うんですけど。

___ 世界的に人口が爆発的に増えている中で、どこかが生産地としての役割を担う必要がありますよね?

(tra)
 これはあくまでも数字としての考え方ですが、今、世界では1/3くらいの人が、悲しい話ではありますが、飢えていて、かたや先進国では食べ物の1/3くらいは捨てられている。 すると単純に数字だけ見れば、捨ててる食べ物が彼らのところに行けば、皆が食べられる。
 もちろん、政治やら経済やらいろんなものが絡んでくるので簡単ではないですが、基本的にはこの地球に今あるシステムを上手く使えば、まだまだ皆が食べていけるだけの食べ物は出来ると思います。
 分配のシステムを確立すれば、充分解決できると思うんです。

例えば、冷蔵庫をいっぱいにしない。
食材は、すべて使い切っちゃう。
美味しいし環境にも良いし、たくさんラッキー♪


___そういう事を知ったうえで、何かキッチンで出来るアクションがあるでしょうか?

(aki)
 例えば、冷蔵庫をいっぱいにしない。
 無くなるまで買い物をしない。買い置きをしないで、使い切る。そうすれば、新鮮なものを買えるし。
 あと、一番良いのは自分たちで食べるものは、少しでも作れるようにする。

(tra)
 食材は、すべて使い切っちゃう。「一物全体」とも言いますけど。

(aki)
うん。例えば巨峰とかって、皮と実の間が一番美味しいって聞いたことないですか?それって、
人参にも大根にも言えるし、皮との間に一番旨さが詰まってるんです。
 それ丸ごとで人参だから、それを使うことによって旨みもでるし、ゴミもないし、剥く手間もないし、料理の下準備が面倒じゃなくなる。
 皮剥かないって 、最初は「え?」と思うけど、すごく美味しいし、楽ですよね。

___野菜の下ごしらえって、結構手間がかかりますものね。

(aki)
 お米にしても、玄米を食べだしてからシンプルになった。
 玄米ってあんまり洗わないで良いんですよ。白米は濁りがなくなるまでちゃんと洗わないと糠臭くなる、って言われる。でも玄米って、2〜3度お水を替えるぐらいでOK♪。
 玄米でも、発芽玄米を自分で作り出してからは、もう全く洗わないで良い。バットに玄米を入れて、水を張って毎日取り替えるだけ。それでもう、取り替えてるのが洗ってる状態だから、あとは炊くだけ!
 美味しいし環境にも良いし、一石二鳥どころか、たくさんラッキー♪

(tra)
 日々のものだから、楽しさと共に楽さ加減は絶対必要ですからね。

___続けられないと、意味が無いですものね。

(tra)
 植物性の料理は、一見手間がかかって大変に思われがちなんだけど、実はどんどん楽になってるんですよね。

(aki)
調理も下ごしらえも、シンプルなのが一番。美味しいし!

(tra)
だからオーガニックっていうのが大事になってくるんですよね。丸ごと食べるから。
だけど今の時代、百点満点はなかなか難しいですからね。ベストを求め過ぎてしまっては、良いもの食べても楽しそうじゃない。

(aki)
 いくらオーガニックだからと言って、萎れたオーガニックは嫌だしね。新鮮な方がいい。

(tra)
 僕は昔、自然食品屋もやっていて、北海道や九州から無農薬のオーガニック野菜を仕入れてたことがあるけど、結果として三重苦ぐらいになっちゃうのね。どういうことか言うと、一つは、採ってから日にちが経つので、葉物はやっぱり萎れちゃう。それに、ただでさえコストが高いうえに送料が加わる。
 農薬に関しては、お百姓さんが一番分かってるんですよ。だけど、流通とかいろんな仕組みが、結局使わざるを得ない。買う人たちも、頭では分かっていても、スーパーに行けば、萎れてたりいびつではない、見た目がキレイな方を手に取っちゃう。それはお百姓さんが悪い訳じゃなくて、今のシステムが問題なんです。
 だから僕らが勧めたいのは、やっぱり生鮮品は近場のもので揃えるのが一番賢い。値段も安いし、新鮮だし。
 小田原とかこの辺は、有り難いことに、お百姓さんがまだいらっしゃるじゃないですか。ですから、近くにいるお百姓さんたちが自分たち用でつくってますから作っているものを分けてもらう ようにするのがひとつのコツですね。農薬的なことも、ある程度コントロールしてるでしょうし。
 100点満点は無理にしても、それぐらいが丁度良い加減じゃないですかね。




西麻布「ネオ精進とグッドミュージック」隠れ家レストランのご案内

【Tokyo Grateful Dead】ネオ精進とグッドミュージック
 > へるしー / なごむ / つどう  
 > 2008.1.末日までの期間限定  
 > 完全予約制 / 1日9名様限定  
 > 食 
   如天甘露味コース(しっかり食べたい方) 8800円   
   究意常楽コース(お酒も楽しみたい方) 4800円   
   おつまみ 600円〜   
 > 飲 
   シャンパン・純米吟醸酒・発芽玄米酒・焼酎   
   地麦酒・梅酒 生ワイン・発酵ジュース   
   フレッシュジュース・サイダー・お茶 等   
 > 音 
   ホットなサウンドとゆるむ音色   
 > 住所
   東京都港区西麻布3-17-34-B1   
 > more info
   ⇒ クリックしてください
   



18:00:00 | milkyshadows | |

03 June

植物性の暮らし

artist file "tanebito" #02 [4/4] 
白澤 秀樹 さん & 吉原 亜希 さん(食と暮らしの研究室 / TAO Lab

「人が良くなる」


___ 「食べ物」という切り口で、いろんなことが見えてきますね。

(tra)
 深いですねぇ。
 「食」という字を見ていただければ、「人が良くなる」と書くんです。それで全てが解決するとは思わないけど、少なくとも、生き生きと豊かに生きる大きなポイントの一つだと思います。
 三度三度のものですし、これが本当に美味しくてヘルシーだったら、これは楽しいですよ。これだけチョイスできる時代は、今までの人類始まって以来ですし、もちろんマイナスの部分もありますが、毎日三回楽しめますからね。

(aki)
 原材料を見るっていうのも、一つの手段。
 植物性とか無添加とか大きく書いてあっても、裏を見るとねアミノ酸って書いてあって、すごくトリッキーなので、大きな表示に惑わされないように注意しましょう!

(tra)
 同じ醤油が二つあるからね。表示が適切に書かれてるかどうかも、問題としてありますね。
 磯部先生という方のおっしゃった『良い食品の4条件』というのがあって、僕はこれが一番の核になるべき物だと思っているんです。
 一つは「 安全であること」。もう一つは「ゴマカシのないこと」。それから「味のよいこと」。最後に「品質に応じた妥当な価格」。
 この四つがね、風土を超えて、本当に食べ物の4条件だと思うんです。 特に、送り手であるレストランビジネスや食品工場は、一番考えなくちゃいけない当たり前のことなんです。
 だけど、この四つを全部加味した食べ物って、あんまり無いんですね。例えば健康食品は妙に高かったり、あるいは不味いかったり(笑)
 食べ物だから、「美味しい」というのが大前提で、残りの三つがそれにくっついてくれば、一番最高だと思う。
参照⇒ 熱海「山田屋」と「良い食品を作る会」


___手軽に選べたら良いですね。

(tra)
 これからは増えてくると思いますよ。
 食べ物の世界に限らず大きく二極化してゆく中で、これから益々ファーストフードはある種の必要性を増すでしょうけど、反面、それとバランスとる為のことも益々増えてくると思うし、又そのために自分たちも仕事をしているんです。

___TAO Labとしては、これからはどんな展開を考えてらっしゃるんですか?

(tra)
 お店をやりたいですね。この手の食べ物を気楽に食べられる場所をつくりたい。家庭料理と外食があって、「中食」という言葉がありますけど、そのジャンルになります。
 料理を教えたり、いろいろな事をやってきましたけど、 やっぱり食べ物は語るより食べた方が一番伝わりますから。
 また、それが一番リアルだし。

味噌汁から


(aki)
 ハンバーガーの後にこうやって味噌汁楽しめちゃうのも、日本人ならではなのかなぁ(笑)

(tra)
 味噌汁は元気になるよね。日本人にとっては、スープでもあるけど、イメージとしては牛乳みたいな感じですよね。

(aki)
 食卓に加える発酵食品というと、ヨーグルトとかもあるけど、ミルクは私たちの身体とはそんなに合うようなものじゃないけど、お味噌とかお漬物とか、日本で生まれて日本に暮らす身体にはよく合う。
 ヨーグルトは、特に女の人にはヘルシーなイメージがあるけど、かえって味噌汁を飲んだりした方が良いかも。腸はすごく喜ぶと思う。

(tra)
 そういう意味では、TVで本当に正しい情報が流れているとは限らないですからね。
 ヨーグルトと味噌汁を比べたら、味噌汁の方を日本の人達には薦めたいですね。日本は発酵文化ですから、日常の中でそういうものを自然に食べれるようになってるんです。漬け物もそうです。
 発酵食品は、腸に何らかの形でプラスですからね。

(aki)
 腸で血液はがつくられてるんです。現代医学だと脊髄でつくるって言うけど、腸が「肝心要」のポイントなんですよね。
 あと、腹筋。椅子の生活や電化製品の普及で、日本人は正座をしなくなったし、床を拭かなくなってきた。その筋肉の弱まりと、お腹の「丹田」、 女の人だったら生理不順とか流産とかは関係してる。
 便秘してるとボーッとするし、腸は脳と繋がってる。トイレにスッキリ行けた時って、頭もスッキリするでしょ? 腸がしっかりしてると、頭がまわる。

___本当に繋がっていることを実感します。

(aki)
 次から次へ繋がっていくから、本当に面白いよね。食べてからの繋がりと、食べる前の物の繋がりとか。

(tra)
 自分の体験から言うと、僕、便秘体質だったんですよ。昔はね、ジャンクフード最高だと思ってましたからね。(笑)
 両極端やったからよく分かるんですけど、植物性主体の食生活だと、便秘はあっという間に治りますね。全然違う!
 便秘の時にはね、自分が便秘だって分からなかったんですよ。前は、一週間ぐらい出なくてもカッコイイと思ってましたからね。(爆笑)
 「オマエ、そんなの時間の無駄!」みたいな。(笑)

___現代生活はスピードや効率が要求されるから、ついつい食事もそうなってしまうんでしょうね。

(tra)
 そうですね。それがまた一つの美徳ですものね。
 音楽だって早いものが流行ってるように、今のリズムはやっぱり確かに早いんだろうけど、 生き物としては、 本来の自分達には早すぎるところが確かにあるでしょうね。そのギャップが、いろいろな意味で身体に表れたり、精神に表れたり、歪みがストレスとして表れるんだと思います。

___ライフスタイルを考えても、例えば、家族の構成が少なくなっています。1人暮らしだったり、2人だったり、子供がいても3人、とか。そうする、食材も、ついつい無駄になることが多い。。

(tra)
 味噌汁に全部入れちゃえば良いんですよ。
 もちろん、味として加減はあるけど、固定概念なく。カレー粉を入れてしまえばカレーになるし。

(aki)
 切り方で楽しむのもコツかな。
 例えば大根でも、スリおろしたり、銀杏切りにしたり、千切りにしたり。切り方で、テクスチャーも変わるし、味も変わるし、同じ素材でも違うものになるから楽しい。
 薄く切って、タッパでお醤油にただ漬けておくだけでも、十分に美味しいおしんこが出来るし。

___ そうやって考えると、作り方のバリエーションが広がって楽しいですね。

(aki)
 アートですよね。一回一回に終わる、日常のアート。手間はかからないし、簡単に出来るし。

(tra)
 食費も、かえって落ちてますからね。
 調味料にしても、例えば、大手の500円のお醤油とオーガニックな1000円のお醤油があったとしたら、普通は500円のモノが安いと思いますよね?
 ちゃんとした調味料って、大量生産のモノより一見高いんですね。だけど、これを質で見たときに、500円の中には宣伝費やら流通費やらがインクルーズされているから、例えば原価が50円だとすると、10倍の売価です。かたや、1000円のモノは昔ながらの製法で、原価が200円かかったとしても、宣伝費が入らないから売価は5倍なんです。
 そうやって見ると、値段というのは必ずしも価値を表してるワケじゃないですから、本当の原価とかクオリティーから見ると、実は安いんですね。これはマジックですよ。
 それに、調味料ってそんなに量使わないですしね。

(aki)
 昔ながらの調味料だと、やっぱり味が良いので、使う量も減るし。

「おふくろ」と「袋」


___なるほど。食べ物には2種類ある。。

(tra)
 そういう意味では、「お袋の味」と「袋の味」。
 コンビニが代表ですが、大量生産のモノを「袋の味」とすれば、伝統的な調味料とかお母さんの作ってくれる料理は「お袋の味」。栄養的にも、愛情的にも、「お袋の味」がなくなって「袋の味」が増えたのが、今の食文化のキーワードのひとつですね。
 「袋の味」を全部否定するワケじゃないですけど、ちょっとバランスが悪いことは確かです。その結果、いろいろな弊害が出ていますから。
 もしも「袋の味」が8割だとしたら、ちょっと行き過ぎ。なんとか半々くらいになれば、あとはチョイスで、自分でもコントロールしやすくなると思います。
 同じような意味ですが、「シェフじゃなくて主婦」というキャッチフレーズがあります。
 グルメブームですから、TVでも何でもシェフの方たちがいろいろと素晴らしいゴハンを作ってます。だけど、こうした外食は毎日食べられないですから、やっぱり違うものなんですね。
 ですから、スーパーシェフが出る番組も見たいですけど、全国の普通の主婦の人達の得意料理っていうの見てみたいですよね。その家庭々々で、美味しいゴハンいっぱいあると思うんで。

___旬のものを使ってね。

(tra)
 もちろんね。旬のものとか、ローカル性を出したり。
 ヤジロベエに例えれば、右手に「生産者」がいて左手に「消費者」がいて。だけどこの二つだけではヤジロベエは成り立たないんです。真ん中に軸があって、その軸が「生活者」って言葉になるわけです。
 どういうことかと言うと、「生産者」も「消費者」もすべての人が「生活してる」ワケなんです。「消費者」はなるたけ安いものが欲しい、「生産者」はなるたけ高く売りたい。じゃぁどちらがが正しいのかと言えば、どちらも正しいワケなんです。
 どちらか一つの視点だけで見ていると、やはりなかなか折り合いが合わないんです。その時に、すべての人が「生活者」だと考えれば、同じ土俵でいろいろなことが見えてくる。それが、新しい解決の糸口になると思うんです。

「植物」


(tra)
 21世紀のテーマは「植物」ですね。植物を、いかに生活の中に取り入れていくか。それによって、ますます豊かになると思うんです。
 植物のスゴさは、結局、お日様。地球のエネルギーは、すべて太陽光線ですからね。それを、植物はダイレクトに変換出来ますからね。システムとして、とてつもなく素晴らしいですよ。太陽光線を植物が何らかの形に変換して、それをまた使ってるのが僕らですからね。
 昔に戻ろうっていう意味じゃなくて、21世紀ならではの方法があると思う。ガーデニングとかブームにもなってるし。

___みんな気づいているんでしょうね。

(aki)
 お花とか、みんな好きだし、日常で植物と仲良くするって、幸せになるし。
 だって一番よくわかるのは、お見舞いにお花持ってったり、お母さんは子供たちに「もっとお野菜食べなさい」って言うし。何でもない足元のところからね。
 動物の私たちにとっては、植物ってスゴク大事だと思う。


22:00:00 | milkyshadows | |

27 May

生活観光

artist file "tanebito" #02 [3/4] 
白澤 秀樹 さん & 吉原 亜希 さん(食と暮らしの研究室 / TAO Lab

生活観光


___旅に出ると、やっぱり食べ歩きなさるんですか?

(aki)
 食べ歩きよりもマーケット。(笑)
 一番刺激になるし、いろんなヒントをもらえる。

___ リアルな食生活が見える?

(aki)
 見えますね。
 そこで売ってるファーマーの方からいろんなアイデアを教えてもらえる。「ウチではこうやって食べてる」とか。目も見開くんだけど、耳もダンボになる!

___どこの国のマーケットが面白かったですか?

(aki)
 どこも面白いですね。アジアのマーケットも面白いし、先進国のマーケットもキレイだし。キッチンは元気になりますよね。楽しいし。
 野菜とか果物って、アロマテラピーだったり、カラーテラピーだったりって思う。

___ケータリングもなさってるんですね。

(aki)
 ケータリングの仕事は、都内が多いかな。あとは、キャンプ場だったり。どこでも料理人デス。

___ケータリングでは、難しい経験もなさったそうですが。。

(aki)
 そうですね。こんなの言うのも恥ずかしいんですけども、海外のミュージシャンにケータリングをした時に、仲間のtraさんと喧嘩しながら料理をしたんですよ。
 別に、時間に遅れるとかそういうのではなく、料理を提供して、いつもきれいに召し上がってもらえることが多かったんですけど、その時だけは、かなり残っちゃった。
 「あぁ〜、思いって手から伝わるんだな」ってなスゴク体感しましたね。

___音楽のアンサンブルのように、一つ一つの楽器がしっかり主張していながら全体にハーモニーを奏でる。

(aki)
 私の料理って、DJタイプなんですよ。
あっち行って食べて、こっち行って食べて、それを合わせたり、マイナスしてみたり。

___「コーディネイト」する感じでしょうか?

(aki)
 うん。昔ながらの調味料を使って、楽しんで料理をすれば、美味しいものは絶対出来ます!

伝える


___ 今、感じてらっしゃる事をどんな人に伝えて行きたいですか?

(tra)
 もう、みんなですね!
 だって食べる事は楽しいし、また必要な事じゃないですか。これは、お年寄りから赤ちゃんまで、みんなとシェアしたい事ですよね。

(aki)
 特にお母さんかな。 お母さんになる人だったり 。子供って、お母さんが選んだものを食べるじゃない?

(tra)
男の人は植物性のゴハンって聞くと、不味いとか満腹にならないとか、そういうイメージを持つと思うんですが、女の人はヘルシーとか美容とも絡んでくるから興味あると思うんですね。
 でも、男の人にも伝えたいですね。

___男の人は、質より量という感じある。。

(tra)
 もちろん量も大切ですけど、やっぱり質と両方あった方が良いですよね。

___胃袋が満たされると、心も幸せになるし。

(tra)
 そうなんですよ!
 逆に、いくら健康に良いと言われても、美味しくなかったら良くないですから。だから本当に、食べ物に関しては「美味しい」が一番ですよね。

アマゾンの大豆


___食べ物っていう切り口は、かなり間口が広いですね。

(tra)
 日々、三度三度のものですからね。
 食べ物がこれだけ豊かになったのは、人類の歴史でもそんなに古いことではないんですね。
ですから、その時代に生きてる僕らは幸せなんです。
 だけど反面、便利が行き過ぎて、生きる為のエネルギーという観点でみると、今の食の便利さがかえってマイナスになってる。それが、僕らにとって、伝えたい一つのテーマなんです。

___その辺が、大きく言えば環境問題に繋がってくる。。

(tra)
 そうですね。
 食べ物って、身体の健康状態や体内環境にも関係してくるし、もちろん心にも関係してくる。その食べ物が何処からきたのかと外側に考えると、特に日本は今、食卓に並ぶ食べ物の60〜70%は海外ですからね。
 じゃあ「海外で作られたものが日本で作るものより安いって、どうなってるの?」って。
 リアルに言えば、今、大豆がスゴイんです。ブラジルの熱帯雨林を燃やして、地平線の遥かかなたまで、一面大豆畑になってるんですよ!
 ちょっと前までは、牛肉がそういう形だったんですが、今はそれが大豆まで来ている。日本の食文化は大豆なのですが、自給率は5%を切っている。そうすると、ベジタリアンだと言っても、熱帯雨林がなくなってしまうことに関係しちゃってる。
 「じゃあどうしたら良いの?」ということになりますが、それを知っているのと知らないのとでは違うと思う。

___ その問題に対しては、何かアクションは起きているのですか?

(tra)
 アマゾンでは、熱帯雨林を自治区みたいにして守る運動が起きてるんです。これ以上大豆畑にならないように、現地の方やNPOの方達が、今残ってる物をまず残そうというスタンスで取り組み始めている。
 だけど、今の段階ではなかなか木を植えることまでは出来ないですね。将来には、その大豆畑を何らかの形で戻すようなことも出来てくるとは思うんですけど。

___ 世界的に人口が爆発的に増えている中で、どこかが生産地としての役割を担う必要がありますよね?

(tra)
 これはあくまでも数字としての考え方ですが、今、世界では1/3くらいの人が、悲しい話ではありますが、飢えていて、かたや先進国では食べ物の1/3くらいは捨てられている。 すると単純に数字だけ見れば、捨ててる食べ物が彼らのところに行けば、皆が食べられる。
 もちろん、政治やら経済やらいろんなものが絡んでくるので簡単ではないですが、基本的にはこの地球に今あるシステムを上手く使えば、まだまだ皆が食べていけるだけの食べ物は出来ると思います。
 分配のシステムを確立すれば、充分解決できると思うんです。

丸ごと食べる


___そういう事を知ったうえで、何かキッチンで出来るアクションがあるでしょうか?

(aki)
 例えば、冷蔵庫をいっぱいにしない。
 無くなるまで買い物をしない。買い置きをしないで、使い切る。そうすれば、新鮮なものを買えるし。
 あと、一番良いのは自分たちで食べるものは、少しでも作れるようにする。

(tra)
 食材は、すべて使い切っちゃう。「一物全体」とも言いますけど。

(aki)
うん。例えば巨峰とかって、皮と実の間が一番美味しいって聞いたことないですか?それって、
人参にも大根にも言えるし、皮との間に一番旨さが詰まってるんです。
 それ丸ごとで人参だから、それを使うことによって旨みもでるし、ゴミもないし、剥く手間もないし、料理の下準備が面倒じゃなくなる。
 皮剥かないって 、最初は「え?」と思うけど、すごく美味しいし、楽ですよね。

___野菜の下ごしらえって、結構手間がかかりますものね。

(aki)
 お米にしても、玄米を食べだしてからシンプルになった。
 玄米ってあんまり洗わないで良いんですよ。白米は濁りがなくなるまでちゃんと洗わないと糠臭くなる、って言われる。でも玄米って、2〜3度お水を替えるぐらいでOK♪。
 玄米でも、発芽玄米を自分で作り出してからは、もう全く洗わないで良い。バットに玄米を入れて、水を張って毎日取り替えるだけ。それでもう、取り替えてるのが洗ってる状態だから、あとは炊くだけ!
 美味しいし環境にも良いし、一石二鳥どころか、たくさんラッキー♪

(tra)
 日々のものだから、楽しさと共に楽さ加減は絶対必要ですからね。

___続けられないと、意味が無いですものね。

(tra)
 植物性の料理は、一見手間がかかって大変に思われがちなんだけど、実はどんどん楽になってるんですよね。

(aki)
調理も下ごしらえも、シンプルなのが一番。美味しいし!

(tra)
だからオーガニックっていうのが大事になってくるんですよね。丸ごと食べるから。
だけど今の時代、百点満点はなかなか難しいですからね。ベストを求め過ぎてしまっては、良いもの食べても楽しそうじゃない。

(aki)
 いくらオーガニックだからと言って、萎れたオーガニックは嫌だしね。新鮮な方がいい。

(tra)
 僕は昔、自然食品屋もやっていて、北海道や九州から無農薬のオーガニック野菜を仕入れてたことがあるけど、結果として三重苦ぐらいになっちゃうのね。どういうことか言うと、一つは、採ってから日にちが経つので、葉物はやっぱり萎れちゃう。それに、ただでさえコストが高いうえに送料が加わる。
 農薬に関しては、お百姓さんが一番分かってるんですよ。だけど、流通とかいろんな仕組みが、結局使わざるを得ない。買う人たちも、頭では分かっていても、スーパーに行けば、萎れてたりいびつではない、見た目がキレイな方を手に取っちゃう。 それはお百姓さんが悪い訳じゃなくて、今のシステムが問題なんです。
 だから僕らが勧めたいのは、やっぱり生鮮品は近場のもので揃えるのが一番賢い。値段も安いし、新鮮だし。
 小田原とかこの辺は、有り難いことに、お百姓さんがまだいらっしゃるじゃないですか。ですから、近くにいるお百姓さんたちが自分たち用でつくってますから作っているものを分けてもらう ようにするのがひとつのコツですね。農薬的なことも、ある程度コントロールしてるでしょうし。
 100点満点は無理にしても、それぐらいが丁度良い加減じゃないですかね。
(つづく)


22:00:00 | milkyshadows | |

20 May

「風土」と「food」

artist file "tanebito" #02 [2/4] 
白澤 秀樹 さん & 吉原 亜希 さん(食と暮らしの研究室 / TAO Lab

『Cooking Live』


___ 熱海の自宅での『Cooking Live』。「お教室」ではなくて「Live」って言う。

(aki)
 「Live」です。(笑)
 参加してくださる方に、私が料理してるのをお茶を飲みながら見てもらう。それで、食べて帰ってもらう、みたいな。

___ どうしてそういうスタイルを?

(aki)
 こういう形って、外国に行くと結構あるんですよ。クッキングクラスって言うと、ライブ型が多い。出来たものを試食程度一口ずつ食べて帰るっていう。
 以前は、一からみんなで作るクラスをやったんですけど、なかなか自宅のキッチンなのでやっかいで、ライブ方式にしたら、料理出来る人も出来ない人も楽しめる利点があって。だから食べたいだけの人も参加できるし、夫婦で来てくださったり。
 ライブの前に、その時々に使う素材のちょっと真面目なお話もさせて頂いてます。食べ物と身体や環境とのつながりとか、食べ物の神話やいわれだったり。

___亜希さんの作ってる姿がすごく楽しそうで、それを見てるだけでもおご馳走になる。

(aki)
 料理、すごい楽しいです! 元気になるし。
 野菜って、可愛いですよね。色とか、形とか。天然のアロマテラピーだしカラーテラピーだし。野菜、スゴイな!

___自然の造形ってすごいですよね。

(aki)
 もう、あっぱれだし、逆らえないし。スゴイなぁって思う。強いし。ファーストエイドですよね。
 キッチンって、その中でほとんどの身体のバランスを整えられちゃう。もちろん、現代医学を否定するわけではないけど、今ちょっと頼り過ぎというか、そっちにウェイトが置かれ過ぎだと思う。
 もっと、昔からの知恵みたいなものを日常で使っていけば、ある程度バランスが崩れないだろうし、崩れちゃった時、少しでもゼロに持ってけるような感じのこともできる。

『Air Tropica』


___毎回のライブでのメニューが、またユニークですね。『Air Tropica』という企画で。

(aki)
 旅が好きで、行ったこともないのにそこの料理とか紹介しちゃってるんです。(笑)
 どこかに行った時に一番楽しいのは、そこの国のマーケットだったり、そこの国の伝統食だったり。 先進国に行ってもそうじゃない国に行っても、そこの国のお母さんが作ってるものとか、ストリートフードとかローカルフードとか、それが大好きで興奮状態になる。

___実際には、今まで、どんな国へ行かれたんですか?

(aki)
 東南アジアはすごく多くて、でも何年か前からハワイ島に御縁が出来て、アメリカによく足を運ぶようになりましたね。
 アメリカは、ヘルスフードとかナチュラルオーガニックという店は、スゴイですね。普通にあるというか、多いです。
 去年の暮れ、初めてヨーロッパに行ったんですよ。逆にヨーロッパって、ヘルスフード屋をあえて探さなくても、例えば普通のスーパーに行っても、オーガニックのものが一緒に置いてある。添加物いっぱいの真っ赤なジュースの隣に、オーガニックな100%のジュースが普通に置いてある。そういう普通さに、結構感激した。
 ハワイなんかも、どんな小さい街に行っても、必ずヘルスストアーがある。

___提供する側が、そういうマーケットを開拓したのかしら?

(aki)
 選ぶ側と両方じゃないかな。どうなんですかね。

(tra)
 結局、経済とも関係してくるからね。
  ヨーロッパって、今の世の中の基本を作って、全部やった後ですからね。ひとつの生き方として、ある程度完成されてる。で、完成されて、お金もあります、何もありますっていった時に、例えばヘルシーとかビューティーとか、お金で買えないものに精神的な意識が行く。だから、普通のお店にクォリティの高い物が並んでる。それでいて、それをチョイスできるのが、今のヨーロッパ。
 で、アメリカはその後ですからね。今度はオーガニックが新しいよ、って勢いがある。日本はそのまた後を追っかけている感じですよね。
 アジアになると、今やっと経済的に食べれるようになって、物質的な幸せが花開く時。
 ザクっと世界を見て周ると分かるのは、やっぱり順番があって、食べる物にも困っている人達にとっては「今日何が食べれるんだ?」っていう意識が高いけど、それが進んでくると、量じゃなくてクォリティ。それは、僕、良いことだと思うんです。

「風土」と「food」


___「 食」は文化とも密接に関わっていますね。

(tra)
 「food」と「風土」はイコールだと、僕はいつも思う。どこの国にも食文化があって、好みはあるけど、どこが素晴らしくてどこが悪いってことは一切なくて、みんな理にかなってる。
 たとえば日本だと魚主体だったり、寒い国に行くとお肉が主体になったり、暖かい国へ行けばフルーツが主体になったり。まさしくそれぞれの環境と食べ物が一つになって食文化ができてるから、その違いを見るのがてつもなく楽しい。
 また、その中に共通したものがあって、例えば新鮮とか採りたてとか季節とか。そういう意味では、食べ方というよりは、共通した所が一番いい所っていう感じかな。

(aki)
必然的に、主食が変わるとおかずが変わる、って感じですよね。

___それぞれの国の料理を食べると、胃袋でその国の文化が分かる気がします。

(aki)
 作っててもインド人になったような気分になる。餃子とか伸ばしてると、中国人になったような気分。(笑)

(tra)
 食べ物とそこに暮らしてる人と、それが密接っていうのが分かりますよね。理にかなってるし。

「素食」


___では、日本で生まれ育って暮らしていて、どういう所に目を向けて考えていったら良いでしょう?

(tra)
 「素食」がひとつ基本ですよね。「粗食」じゃなくて。
 もうひとつ、この時代、気をつけなくちゃいけないのは、やっぱり添加物。ほとんどの食べ物に添加物が入ってるから。

(aki)
あと旬、シーズン。さっきの風土の話じゃないけど、人間の身体も自然だし、野菜も自然だし、 その季節に必要だから生る。 旬のものって美味しいし、安い。
 択べる時には、択ぶ。択ぶって、楽しいし。

(tra)
 みんな毎日毎日、洋服でも音楽でも、今日どこ行こうかとか、チョイスしてる。添加物いっぱいの食べ物と、ヘルシーフードっていうものが2つあるとすれば、ヘルシーフードの方が良いよね。あとは好みもあるから、その中でアレンジして。
 だから「チョイスを楽しむ」ってことかな。

(aki)
 私、ベジタリアンなんですよ。楽しいし美味しいから。
 日本にも、「マクロバイオテック」や「正食」や、そういうレストランがあるんだけど、いつも疑問に思っていたのは、良いものなのにビジュアルが悪い。妙にそれが特別なものにされていたり。
 例えばイタリアンレストランに行って、「え、なんで醤油味が無いの!?」とは感じないでしょ?でも、ベジタリアンだって言うと「え、なんで?」って。
 「今日、点心食べに行こうよ」っていうのと同じ線上にベジフードが置かれたら、それはすごく楽しい。普通に「じゃぁ、今日はベジにしようよ」って、選択のひとつとしてあったらいいなって、いつも思う。今、だんだんそういう風になって来てるのかな。楽しくなって来た。
 動物性のものと言っても、別にお肉が悪いワケではない。島の人だったら、お魚を獲って太古の昔から食べてきてる。だけど今は、お肉を摂り過ぎだったり、工場で牛が作られていたり、そういうのが悪いんであって、過ぎてるだけ。もちろんインパクトが強いものなんだけど。
 あとはもう、野菜、美味しい! 軽いし、楽しいですよね、ゆくゆくは野菜を作りたいけど、ファーマーにはなれないな。ガーデンで野菜が出来たら良いなと思う。

___野菜から作ることも考えてるんですか?

(aki)
 今、自分で作ってるのはスプラウト。スプラウトは、キッチンで出来る一番小さな畑。新鮮だし、土が無くても出来るし、エネルギーも高い。
 スーパーで売ってるスプラウトも、一回日光に当ててあげるとすぐ元気になって、緑色がキュッと強くなる。お日様のエナジーってスゴイから、ちょっと当ててあげると美味しいかな。

___太陽のエナジーをいただく。。

(aki)
 お日様はもう万歳ですよね。いちばんダイレクトだし。

「いただきます」


___食生活を変えるというのは、ライフスタイルを変えることになります。習慣を変えるキッカケとしては、どんなところから始めたら良いでしょう?

(aki)
 私は伝え手の立場として『Cooking Live』では毎回お話するんだけど、調味料だけは偽りのないものを使ってもらいたいと思う。美味しい調味料を使って、楽しく料理すれば、誰でも美味しいものが出来る。ただ切って混ぜただけでも(笑) これは、一番のポイント。
 値段の高いものじゃなくて、ゴマカシの無いもの。例えば、味噌だったらちゃんと寝かして作ったもの、油だったら薬品を使わないで搾ったもの。もちろんそれがオーガニックだったらより良いんだけど、それ以前に、添加物の表示を見る。買い物する時に、表の文字にゴマカされないで、裏の表示を見る。
 あとは、その人それぞれのこだわりだと思う。

___とすると、やっぱりお家で作って食べるのが良いのかな?

(aki)
 お家のゴハンって、いちばん美味しいと思う。
 レストランやラーメン屋さんに行って「不味いからもう行きたくない」って話はボロボロ聞くけど、友達の家にゴハンに呼ばれて「お前のお母さんのゴハン不味いから2度と行きたくない」っていう経験はしたことない。(笑) もちろん好みはあるけど、家庭料理って想いが伝わる。
 インドの修行僧の話を聞いたことがあって、ある修行僧が山から下りて次の山に行く間に、町を通って、食事をするのに食堂に入って、そこで出された食事を食べたら、突然、苛立ちを感じたらしいの。で、修行僧だから、「この自分の感情はどこから来たんだろう?」と思って、キッチンを覗いたら喧嘩しながらその料理をしてた、っていうお話。

___その波動をもらっちゃった?

(aki)
 やっぱり、伝わる。
 自分でも実際に体験したことあるし、もうちょっと向こう側まで見れば、偽りのないものっていう話にも繋がってくる。生産者の顔が見えるもの、とか。
 そうやってグルグル考えると、作物は天から降る雨の恵みで出来ていて、その雨がキレイじゃないと、って環境問題に繋がってきて、それが自分の所に返ってきて。。
 本当に、キッチンの中でグルグルしてます。(笑)

___そういう大きな「輪」を考えると、「いただきます」っていう言葉はスゴイですよね。

(aki)
 マントラですよね!

(tra)
 「いただきます」と「ごちそうさま」っていう言葉は、「もったいない」と同じように素晴らしい言葉だと思う。世界中、有りそうで無いよね。長いお祈りはあるけど。
 「いただきます」は、「これから食べるよ」っていう合図でもあるけど、「すべてに感謝」っていうのをたった一言で表現しているし、「ごちそうさま」は、食べてお腹いっぱいになった自分の満足を表す言葉でもあるけど、食べるってことは何かの命なりエネルギーをもらうワケだから、それに対する「感謝」ですよね。
 それを日常の中で、普通に日々営まれている、っていうのが素晴らしいし、理想ですよね。

___命をいただく。。

(aki)
 私たちは食べ物で出来上がってるから。

(tra)
 本当に、実際そうだからね。
 命にありがとう、命にごちそうさま、って思うんです。
(つづく)


22:00:00 | milkyshadows | |