Complete text -- "心臓の鼓動"

24 June

心臓の鼓動

artist file "tanebito" #03 [3/4] 
土屋 譲 さん(打楽器プレーヤー)


3拍子


___人間のリズムの基本は、心臓の鼓動から来ている?

 「ドクンドクン」だから、聞こえている音だけから言ったら2つの音。

___2拍子ですか?

 でもこれは、最後まで聴くと3つになるんです。「ド・ク・ン / ド・ク・ン」という刻みなんです。3拍子。
 僕なんかJazzじゃないですか。Jazzのビートも、基本的には3つなんですよ。その中にいろいろな音符が入っていますけど、構成としては3連符を刻んでる。それが早いか遅いか、というだけ。
 それが、Rockなど8ビートのサウンドが受けている理由につながるんです。
 ヒトが持っている基本的なリズムが3拍子だから、『スケーターワルツ』のような3/4の曲は人が和むんです。で、それに逆らって、1拍の中で「タタタタ」と4つ刻んだら「アレ!?」っと思うでしょ?

___刺激的なんだ!

 その通りなんです。
 リズムの発祥地アフリカの「ポリリズム」も3拍子から成り立っているんです。奇数ですよね。8ビートや16ビートは偶数拍ですから、全然取り方が違うから刺激的なんでしょうね。だからみんながそこに惹かれるんだと思います。

___しかもデジタルな社会ですし、、

 余計にそうなんでしょうね。偶数の方がキッチリ行くんですよ、リズムも。

___あぁ、そうか、割り切れますものね。

 奇数の方が難しいんです。ゆったりしてるし。

___オーガニックなのかな?

 そういうリズムは奇数の方が出せるかな。僕の経験の中では、そう思います。自然が3拍子で動いてるとは思いませんが、自然の推移とか、自分の呼吸に逆らわないで出来る。
 8ビートも16ビートも楽しいですよ。でも 3/4の曲を演っている時は気負わなくて済むのが不思議ですね。

鼓動とリズム


___Jazzのスウィング感や「シャッフル」なども、その辺の感覚なんでしょうか?

 「シャッフル」もそうですよね。子供でも分かるように言うと「お馬さんポッコポッコ」ですよ。4本の足でシャッフルで走る。(笑)
 不思議ですよね。(笑)「4」が「3」になってる。「サンバ」ですよ。
 「サンバ」って、「4」と「3」が入り乱れてる。で「どっち行ったらいいんだ?」っていうもどかしさがイイんです。どっちでもOKっていう。
 国によってリズムもいろいろあって面白い。

___そうしてみると、日本のリズムは、どちらかと言うと鼓動を感じませんね。あんまり心拍数が上がらない。

 日本のリズムは、鼓動を感じたうえで演る感じですね。イチイチひっきりなしに演るんじゃなくて、「ボーン」と出したら後は沁みて行くのを感じてる。だから、もっと大きいのかも知れない。
 もともと日本人は、ゆったりとした大きいリズムを相として持っているのに、せわしないリズムに行きたがる。そうやって、刺激を求めたがるんだと思います。自分も若い頃はそうでした。

___リズムに興味を持ったのはドラムスを演奏するようになってからですか?

 いやぁ、最初はとにかくドラムが上手くなりたかった(笑)。

___どうしてドラムスだったんですか?

 高校に入った時に、あまりにもギター人口が多くてドラマーがいなかったんですよ(笑)。
 で「あ、俺、ドラム演ろう」って素直に思った。リズムには興味があったので。それで、アルバイトしてドラムセットを買って、とにかく練習しまくりましたね。
(つづく)


22:00:00 | milkyshadows | |
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