Archive for 20 January 2008
20 January
「真実の淵」
南の島の、
誰もいない波止場にゴロンと寝ころんで、
一晩中、星を見ていたことがあります。
満天の星。
天の川が、ぼやけた雲みたいに、
星空を滲ませていた。
街に生まれ育った私にとって、
星の輝きの他に何も光るものが見えない夜なんて、
あの晩が最初で最後。
「もしも、この瞬間に、
背中の地面が消えて無くなったとしたら360°が星空なのに」
地平線を恨めしく思いながらも、
ただ一人宇宙に漂う自分を想像したら、
たまらない孤独感に襲われてきました。
大地に抱かれる安心に、我に返ると、
その暖かさに、
体中がまどろむように溶けて行くようでした。
私は、その時、
自分の一番内側の、
本当の真ん中をリアルに感じたような気がしています。
そこに繋がってさえいれば、
天も地も、前も後ろも、左も右も同じこと。
絶対的な中心軸。
それは、
私に勇気と安心を与えてくれたけれど、
同時に、
私は孤独と恐怖を思い知らされました。
私の中心にある「真実の淵」は、
ぽっかり深くて、あまりにも遠く、
魂を連れ去るほどの、冷たい風が吹き上げてくる。
その中心をのぞき込むたびに、
私は、今も、
身動きがとれなくなるのです。