Archive for 26 August 2007
26 August
真剣に生きていれば、「エコ」は勝手について来るんです。
僕は「人」から多くを学んでいます。
そこには温度もあるし、全部リアルに伝わるから。
そこには温度もあるし、全部リアルに伝わるから。
___ 『ES』というフリーマガジンを発行して、啓蒙活動をなさっています。とてもセンスの良い編集ですね。
ありがとうございます。
年に3回の発行で、7月のvol.9でちょうど3年になります。
___こうした活動をオーガナイズするのは大変なことですが、どうやってネットワークを築いてきたのですか?
最初は知り合いを集めたんです。26歳の時でしたから、人脈なんて知れてますから。
時間の無い中、飲み会のような形で集まってもらって「地域の新聞のような物を作ろうと思っている」と言って、15人くらいでミーティングを開いたんです。グラフィックのデザイナーがその中にいたり、自分は何が出来るだろうと考える人がいたりして、人に頼むことと自分でやらなくちゃいけないことを見極めて、vol.1は16ページでCDサイズのものを3000部作りました。
___資金はどうなさったんですか?
知合いに頼んで広告主さんを探して、「紙面に広告を載せるから」と広告代を集めたんです。「これでウチの売上げが伸びるとは思ってないけど、ナオヤにだったら払ってやる。」という感じでした。
それはそうだと思います。3000部では宣伝効果も知れてるし、実績もないし。
でも、そこに投資してくれる方が徐々に増えて、今では10,000部の発行で、先方から問合せを頂くようになってきました。
___そういう方々は、ナオヤさんのどんな所を買ってくれたんでしょう?
ただ単に、テンションが高くて妙に真直ぐだったからじゃないでしょうか。(笑)
後は、こういった活動をサポートすることによって、付加価値を感じる方もいるかも知れないですね。湘南に住んで海にお世話になっている、その海に恩返しをしたいと思っている人が、この街には多いんです。
___ナオヤさんにとっては、何がモチベーションなのでしょう?
シンプルに、こういうことが好きなんだと思います。
海が好き、サーフィンが好き、というよりも「人」が好きなんです。寂しがり屋だし。(笑)
いろいろな人と知り合いたいし、人と話すことが好きなんです。人と話すことで、自分が成長できる。本を読んだり勉強したりというよりも、僕は「人」から多くを学んでいます。目と目を見て話せば、相手のことも一歩深く知ることが出来る。そこには温度もあるし、全部リアルに伝わるから。
『ES』の活動やフリーマガジンが繋ぎ役になって、いろいろな人と出逢える。その出逢いをそこでキチンと消化すれば、それだけ自分も人として大きくなっていくと思うんです。
どうせ生きるならカッコ良く生きたいし、自分らしく生きたい。そういう自分が好きなんです。
真剣に生きていれば、「エコ」は勝手について来るんです。
___これからのビジョンは、何かイメージがありますか?
やっぱり、地域に貢献したいですね。
愛情いっぱいに育ててくれた両親に恩返ししたいし、海にも感謝したい。広告を出してサポートしてくれた方々にも恩返しをしたい。そうすると、大きなことを言うよりも「地域」なんです。
地域に根を張って、地域が潤うようなことをどんどん仕掛けて行きたいと思っています。それはもちろん「エコ」であるし、ずっと継続できるシステムであって、「自然」も喜んでくれることをやりたい。
良いバイブを届けて行きたいですね。
___伝え手として、どんなことを伝えていきたいですか?
「LIFE」なんだと思います。「生きる」。
「森羅万象」という言葉がとても好きで、自然の中でサーフィンをやっていると、全部が繋がっていることに気づくんです。今ココに在るものすべてが必要なんだ、ということが根底にありますね。英語で言うと、「be there」。
自分なりの生き様を、自分なりに伝えて行きたい。
___そのことのキーワードとして「エコ」がある。
そうですね。
___ナオヤさんにとって、「エコ」って何ですか?
今こういう時代だから盛んに叫ばれていますが、海で真剣にサーフィンしてる人たちは、そんなことみんな知っています。ゴミがあれば悲しいから、ゴミは捨てなくなるし、それを人に伝えたくなる。
要するに、「おまけ」ですね。
___「おまけ」?
真剣に生きていれば、「エコ」は勝手について来るんです。
真剣に生活をしていれば、「これ、もう一回使おう」とか「節約しよう」と思う。真剣に暮らしていれば、「これが流れて海へ行って、海で俺たち泳いで、魚を食べて、、、」って、真剣に考えて理解しようとする。
今使っている洗剤がヤバイこと、今食べている魚がどこの産地で何なのか分からなくてヤバイこと、本当は原子力がヤバイこと。。。
『エコサーファー』も、サーフィンを真剣にやっていれば、「エコ」はおまけでついて来る。自分が本当に好きで楽しんでやっているということが何かのキッカケで相手に伝われば、その瞬間に「オレも入れて!」ってなりますよね。
誰でもそうだと思うんです。人生をenjoyしてる人でなければ付いて行けないし、一緒に遊ぼうとは思わないですよね。(笑)
「ドーム」の可能性
___ドームハウスの建築は、受注でなさっているのですか?
ここ7〜8年は、多い時で年間10棟くらい建築しました。
昨年は、横浜で学童保育の為の建物を手がけました。直径10mのサッカードームで、正五角形と正六角形のパネルを組み合わせたタイプです。2棟を隣接させて、キッチンやトイレやバスなど家としての機能は片側につくって、もう片側は子どもたちのスペースとして広く空間をとりました。中はどんな区切りにも出来ます。中二階がつくれるほどの高さがありますが、ここではあえてワンルームで使っています。
___広い空間がつくれるだけでなく、天井が高いですね。
天井が高いのは気持ち良いですよ!
国産でドームハウスを組み立てているのは、僕ともう一人九州でやっておられる方と、二人だけなんです。大手の建築会社でアメリカからの輸入物を扱っているところがありますが、輸入物は価格が高いこととサイズが大雑把なものしかないのですが、ウチはバリエーションもあって細かいことも出来るし、しかも安く組み立てることが出来ます。
ただ、なかなか良さを分かってもらえなくて、まだまだ需要が低いです。
___何がドームハウスの普及を阻んでいるのでしょう?
やはり土地が狭いので、四角い土地に丸いドームを作る余裕がないのでしょう。四隅が余ってしまいますから。
今まで僕が手がけた中で一番小さいものは、3坪で直径3.8mほど。半球にしたら高さ1.8mしかないので、垂直な壁を立てて持ち上げて組み立てるんですが、やはりもう少し広い方が良いですね。
施主さんがドームをお好きであればそれでも良いんだということになりますが、直径7m以上が実用的でしょうか。
___ということは、やはり先進的な意識を持ってらっしゃる方に限られてしまう?
そうですね。
ですから、ログハウスとドームハウスとで迷ったり、途中で止めたりする方はほとんどいません。
四角い土地に対応したドームのアイデアも持っているのですが、今は開発途上です。効率が良いとか丈夫だとか、それが全てではないですし、皆さんが四角い建物に慣れてしまっていることは大きいですね。
___四角いドーム?
肉まんを二人で分けて食べる時のように、ドームを直角に分割するんです。意匠登録までは済んだので、これからそれを提案して行こうと思っています。
ドームの一番の良さは開放感ですから、四角い家でも皆が集う部分はドームにしたらいかがですか、という提案です。
___空間が丸いことは、心理的に影響が大きいでしょうね。
ドームを組み立てる時に、最後の頂点の部分は必ず僕が仕上げるのですが、その度に美しいと思うんです。僕は高所恐怖症なのですが、丸い上は大丈夫。(笑)
僕が最初に組み立てたのは四畳半に内接させたドームでしたが、その時は空間の面白さに圧倒されました。
「これだったら孫が来てくれる」と言ってブランコを取り付けた施主さんもいらっしゃいます。(笑)
___なるほど! この空間ならそういうことをしたくなります!
フリークライミングをなさっている方は、内側に上までフックを付けて登れるようにしたそうです。
京都にはライブハウスにしている所があるようです。
___音響効果も良いんですね。
そのままでは反射し過ぎてしまうのですが、それを吸音材などで少し遮れば面白いですね。
アコースティックな小さい楽器のソロ演奏には向いています。独特な反響を利用して、両端で掛け合いの演奏をするのも面白い演出ですし、周囲の壁沿いに客席を置いて中央でパフォーマンスをする設営も良いですね。
但し、大音量の演奏には向かないです。
___ドーム建築の普及のためのキャンペーンもなさっているのでしょうか?
建築ではないのですが、段ボールで模型をつくるようなワークショップはやっていました。
『メビウスの卵展』というイベントに参加してやっていたのですが、主催する自治体の予算の都合で一昨年になくなってしまいました。10年ほど続いた恒例のイベントだったのですが、残念です。
___今仕掛けてらっしゃる展開はないのですか?
いろいろ構想はあります。
「フラードーム」は、世界的にみるとアメリカ・日本・カナダ・オーストラリアに集中していて、アジアや旧共産圏には無いんですね。なぜ普及していないかを調べるところまでは行っていないのですが、むしろ日本よりドームに向く風土があると思うんです。だから、僕はそっちへ行ってみたい。
___なるほど。土地はあるし、かえって環境が過酷な場所の方が威力を発揮する。
実は、縁があってインドネシアへ行く予定だったんですが、津波があって話も流れてしまった。復興の支援も考えたんですが、ツテが無かったことと、準備が足りなかった。
パオのドーム版なども考えていますが、今は設計段階です。