Complete text -- "融けて なくなる"

25 November

融けて なくなる


私は、11月の穏やかな空が大好きです。

晴れた日の太陽は、
部屋の奥まで差し込んで、
まろやかな陽だまりの中、
ぼんやりと、
光の肌触りにまどろむのが、大好きです。


海の見える窓だったら最高です。

水平線の右手には、
箱根から伊豆へと、山々が蒼く連なって、
白い雲たちが、
そこからちぎれるように流れてきては、
ゆっくりと、海の上で消えてゆく。

 「あぁ、そうか、、
  雲って、最後は消えてゆくんだ、、」

まるで、雲たちが、
どこまで遠くへ流れて行けるか、
穏やかな光と風を楽しんでいるような風景。

 「そういえば、
  こんなふうに雲を眺めることなんて、
  長い間、忘れていた、、」


思えば、
日々の暮らしで繰り返しているのは、
氷の塊を、
凍ったまま飲み込むような作業なのかも知れません。

塊は、
喉につかえ、胸につかえ、
お腹の底に沈殿して行く。
塊が、
いつかは解けることすら忘れて、
塊は、
意識の底に堆積して行く。

 「もう少し、穏やかな時間があれば、
  塊の大きさや冷たさを、
  味わうことだってできるのに、、」


そんなことを思いながら、
11月の雲の行方を、丁寧に見届けるのが、
私は好きです。
motoka


17:50:00 | milkyshadows | |
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